第21話 唯一無二
「冬真さんと結婚すること」
「、、、は?」
今こいつなんて言った?
俺と結婚することとか言った?
え?なんで?
頭の中で疑問が駆け回る。
「だから、私のやりたいことは冬季冬真さんと結婚することなの!」
「いや、なんで?」
真っ先に出たのはやはり疑問だった。
正直言って秋奈は可愛いと思う。
だから俺なんかではなくてもいろんな男を選び放題だと思うし俺と秋奈はそれなりに歳が離れている。
なのに、結婚?
「しょうがないじゃん。好きになっちゃったんだから」
「え~」
そんなもんだろうか?
そんなもんなのか。
「最近ずっと考えてたんだよ?やりたい事って何なんだろうって。で、答えがずっと冬真さんと一緒にいることだった」
「なんでだよ。俺なんかいいところとかないのに」
「何言ってるのよ。冬真さんは優しいし気遣いできるしイケメンだし何より一緒にいてすごく楽しい。私、今まで生きてきた中で冬真さんと一緒にいる時間が一番楽しかった。冬真さんは私にとってなんかじゃないよ。かけがえのない唯一無二の存在なんだから」
秋奈は顔を真っ赤にしていたけど俺から眼をそらすことなくはっきりそう言い切った。
あったときから言う時は言う奴だと思ってたけどまさかここまではっきり言うのかと少し驚いてしまった。
それと同時に嬉しくもなった。
こんな俺が誰かの一番になれたのかと思って。
「そうか」
「そうだよ!それで返事はどうなの?まあ、ここで断っても絶対に自殺なんてさせてあげないけどね!」
秋奈は再び俺に抱き着きながらそういった。
心地がいい。
そう思った。
誰かに抱きしめられるのはこういう気持ちだったのか。
「とりあえず、付き合う付き合わないは置いといて自殺はやめるよ。どうやらこんな俺のことを好きでいてくれる奴がいるみたいだしな」
「よかった。って返事は!?」
「それは少し考えさせてくれ」
正直今まで秋奈のことは今まで娘みたいな感覚で見てたからいきなり付き合ってと言われても困ってしまう。
まあ、いままで娘なんていたことないんだけどね。
「なんでさ~いいじゃん付き合ってよ~」
「しっかり考えるから待っててくれい。でも、ありがとな。お前のおかげでもう少し生きてみる気になったよ」
「お礼を言うならこっちのほうだよ。あの時冬真さんに拾われなかったら私はもっとひどい人生を送ってたと思うから。だからこちらこそありがとう!」
そういって秋奈はにこっと微笑んだ。
その笑みは最初のような作り笑いではなく心の底からの笑顔のように見えてとても綺麗でまぶしかった。
それを見て少し俺の心臓がうるさくなった。
いや、まさかな。
でも、こいつのおかげで俺はもう一度前を向けそうだ。
「とりあえず寝るか。もう深夜だしな」
「そうだね~冬真さんって明日仕事?」
「いや、休みだな。というか少し早めの正月休みで今日から連休だ」
「そうなの?じゃあ、この連休中に冬真さんを落として見せるから覚悟しておいてね?」
秋奈はウインクをしながらそう言うのだった。
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