第5話 四ツ谷のニキ
〜日が暮れて来た〜
俺たちタヌキにとっては問題無い時間だけど人間はどうなんだろう?疲れ果てて明日も考えたく無い人生を生きている奴もいれば、この時間から人生薔薇色って奴もいる。まあ色々いるからね。
〜ちょうど新宿2丁目の交差点付近を通過した頃〜
〜ガードレール下を通過している時に、アイツに呼び止められた〜
「オイ待て〜い!そこの2人!」
何やら侍みたいに呼んでくる奴がいるぞ。
振り返ってみるとタヌキだった。
「何じゃ〜い」
コロも負けずにサムライ言葉で応酬した。
「何じゃ〜いはないだろう!」
近くに行ってよく見ると、俺たちと同じくらいのタヌキだった。
「朝起きたら世界が変わっていたろう?」
〜えっ、何で知ってんだ!〜何者だコイツ〜。
「酒店の前でいきなり慌てふためいて、御苑まで走って行ったから気になって追いかけて来たんだよ」
「あっ!あの時こっち見てた!」
ロコちゃんは思い出したように指さした。
「何があったか知らねーけども、何か変わったんだよな?」
「ああそうだよ。朝になったらお父さんとお母さんと、それに…」
コロちゃんはグッと来るものを押さえ込んでいた。
「消えちゃったんだろう?」
「その辺の話はよく聞くよ」
「何だって?」
いかにも知っているような口調で語ってきた。
〜何か知っているな〜
コロはすかさず聞いた。
「よく聞くって一体何なんなんだよ?」
「時空の歪みさ!」
「過去の出来事があたかも今起きているかの様に出現し、そして忽然と消える。」
「まだ良い方だよ!」
「俺の知ってる渋谷の連中なんか、とんでもない距離を一瞬で移動したようだ」
〜時空の歪みか?〜
コロは意味がわからなかった。それに過去の出来事ってどう言うことなんだ?複雑な感情が入り乱れてしまった。
「人によって違う現象が起きるってことか?」
コロはふたたび聞いた。
「多分そうだと思うよ…」
興奮している兄妹をよそに、
「申し遅れたが、俺の名前はニキ。四ツ谷がテリトリーさ」
「まっ、よろしくな!」
2人の兄弟もそれぞれ名乗った。
まあいずれわかることだろうから、2人はこの初めて会ったタヌキ、ニキについて行く事にした。
〜もう外はだいぶ暗くなってきた〜
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