第2話 ここからが本番!
合コンの延長戦というものもあった。
関東の知人が大阪に帰って来た時に、“彼女がほしい”と言っていたので、第1話で登場した里子に連絡した。予想通り、里子の方はOKだった。ということで、知人を待ち合わせ場所へ連れて行き、里子と会う前に僕は帰った。
その夜はホテルに泊まったとのことだった。里子は僕をホテルに誘ったくらいだ。男性に飢えているのは想像が出来た。そこで女性の温もりを求める知人。求め合えば、ホテルに行くだろうとわかっていた。
しかし、休暇が終われば知人は関東へ帰る。やがて知人に里子から“寂しい”というメールが届いた。僕は、
「会える時に、会えるだけ会った方がええんとちゃうか」
と、知人の背中を押した。2人がどんなデートをしたのか? 僕は知らない。やがて知人は関東に帰った。知人と里子がその後どうなったのかも知らない。結婚したとは聞いていない。僕は、合コンが失敗しても延長戦があることを知った。あの時、合コンをセッティングしていなければ、知人と里子を会わせることは出来なかった。僕はちょっとだけ“良いことをした”気分になれた。
別の知人とも合コンをセッティングした。僕より5歳ほど年上の上司を、僕の女友達(舞子:僕より4つ年下)の友人(淳子:舞子と同い年)と合わせたのだ。何故、上司に淳子を紹介したかというと、上司に“どんな女性がいいですか?”と聞いたら、“普通の娘(こ)がいい。普通の娘が1番!や”と答えたからだった。場所は焼き肉店だった。淳子は女子力が足りなかった。というか、何もかも普通。全てにおいて平均的だった。その場は楽しく過ごせたが、上司が淳子に連絡することは無かった。“普通の娘がいい”と言っていたのに。
だが、舞子は淳子の面倒を見ようとしていたのか、次の紹介を希望した。舞子の頼みでは断れない。僕は学生時代の知人(高志)を淳子に会わせた。高志が“普通の娘がいい!”と言ったからだ。その日は、女性陣の希望で豚足(コラーゲン)で有名な居酒屋に行った。下町の居酒屋! という感じで、ムードは無かった。高志はあまり会話に入って来なかった。僕も無理に盛り上げようとはせずに、のんびりと食事を楽しんだ。
解散して、高志に感想を聞くと、“もっとカワイイ娘がいい”と言われた。だったら、最初から言ってほしい! 最初にわかっていれば、淳子を紹介しなかったのに。
後日、僕と高志は、母校の文化祭に行くことになった。その頃、年下の不思議ちゃん39歳とまだ連絡を取っていたので、話のついでに“文化祭に来るか?”と軽く聞いてみた。すると、“行った方が良いという、宇宙からのメッセージをキャッチしたので行きます”と言われた(宇宙からのメッセージ? と思われますか? ← いえいえ、そこは気にしないでください、だからこそ、不思議ちゃんなんです)。
文化祭、こちらが指定した時間よりも、理由をつけてかなり遅く来た不思議ちゃん。僕は不思議ちゃんと高志を2人きりにしようと思い、学校から少し離れたパチンコ店の喫煙所でタバコを吸ってから戻った。不思議ちゃんと高志は、コロナ前だったのにソーシャルディスタンスだった。まあ、仕方が無い。紹介や合コンなんてマッチングする方が難しいのだ。
高志はハッキリと言うタイプなので、後で正直に“顔が好みじゃない”と言ってくれた。正直に言ってくれた方がスッキリする。念のため、“でも、不思議ちゃん、胸が大きいやろ?”と言ってみた。高志は“胸は見ていない”と言っていた。もしかすると、高志は紳士なのかもしれない。僕なら、女性の隅々までチェックしてしまう。
不思議ちゃんと上手くいかなくても、僕と高志はそれで良かった。その日のメインは紹介ではなく文化祭を楽しむことだったからだ。だが、不思議ちゃんは、
「紹介、これで終わりですか?」
と、妙なことを言っていた。何人紹介してもらうつもりだったのだろう? そう言われても、僕にはどうしようもなかった。
そこで、気付いた。僕は母校の事務の正規職員達を知っている。不思議ちゃんは彼等を狙っていたのかもしれない。だが、僕は不思議ちゃんに言っていた。“正規職員の男性はみんな30歳前後やで”と。30歳を39歳に紹介するか? 普通に考えてありえないと思う。でも、不思議ちゃんはそれを期待していたような気がする。怖い。そういえば、不思議ちゃんは“私、若く見られるんです。学生と間違われるんですよ”と言っていたのを思いだした。僕等から見ると、年相応にしか見えないのだけれど。若く見える自分なら、30歳を紹介してもらえると思ったのだろうか?
それから、不思議ちゃんとは連絡を取っていない。というか、多分、拒否されていると思う。
紹介や合コンに失敗すると、女性とどんどん連絡が取れなくなっていく。そのわかりやすさがおもしろかった。ちなみに、僕と高志は女性の好みが全く違う。だが、僕の目から見ても、淳子も不思議ちゃんも、お断りされても仕方が無いかな? と思った。上司や高志の判断が間違っているとは思わない。淳子も不思議ちゃんも、外見は普通と言えば普通なのだけれど(過去に男性と付き合ったこともあるし)。
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