第39話
お店を再開して数日後、―チリンチリン―と鈴がなるような音が聞こえたと思うと一羽の白い文鳥が店に入ってきていた。
私はお店の扉は閉まっていたはずなのになぁと思いながら文鳥に近づくと、文鳥はパサリと私の手元で1通の手紙に変化した。
魔法なのかスキルなのか分からないけれど、素敵ね。
私は手紙の名前を見ると師匠の名前が書いてあり、裏側には王家の印が押されていた。
「師匠、手紙が来たよ」
私はそっと手紙を師匠の元へと持っていく。部屋に入るとなにやら師匠は険しい表情で薬草と書籍を交互に見ていた。
「師匠、王様から手紙がきているよ」
「・・・あぁ。有難う」
師匠に手渡した手紙はさっと封が開けられた。手紙を読み終わると師匠は手紙に火を付け、ぱっと燃え尽きてしまった。
手紙を読んだ師匠は機嫌が急降下したようでチッっと舌打ちをしている。こんなに機嫌の悪い師匠を初めて見るかもしれない。
「師匠、どうしたの?大丈夫?」
私は心配になり声を掛ける。
「大丈夫ですよファルマ。ただちょっと城へ行くことになったのでイライラしているだけです」
そうなんだ。
この間の魔物の討伐かポーションの事なのかな。何年もここで暮らしていて急に呼び出されるなんてそれくらいしかないよね。
「ファルマ、私が王都へ行っている間、留守番をお願いします。心配しなくてもちゃんとお土産を買ってきますからね」
「師匠ったら、そんな心配してるんじゃないよ」
「分かっていますよ。私の今一番の心配事はファルマの作る食事が数日も食べられないという事です」
「ふふっ。じゃぁ師匠が帰って来たらスペシャルからあげを沢山作るよ」
「それはすぐに帰ってこないといけないですね」
師匠の表情が少し和らいだ。心配になる。お城には何しにいくんだろう。ちゃんと帰ってこれるのかな。きっとお城で嫌な思いをするんじゃないかなとか私が不安になってくる。
そうして手紙が来た2日後、師匠は王都へと出かけていった。
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