第7話

 翌日からは新しい野菜の苗を植えてみる。


レタス等の葉物野菜。美味しい葉っぱは虫の大好物。農薬を過去に使っていた事があるわ。もちろんこの世界にはまだない。EMぼかし肥料は作ればあるけどね。でも!私は蟲使い。葉に寄り付かせないように指示を出してみる。


スキルを解除しなければそのままなのでとても便利だわ。



 数日後、待ちに待ったジャガイモの収穫。やはり大量だわ。1つ1つのサイズも大きくて食べ応えがあるわね。レタス達もすくすくと育って一緒に収穫し、籠に詰めていく。今回のじゃがいもも20キロ近くは収穫できたわ。


レタス達もふんわり柔らかい玉菜で美味しそうだわ。私は収穫を終えると、また男の子の恰好をしてた。そうだわ、折角美味しいジャガイモやレタスがあるのにここの世界にはマヨネーズがないんだった。


私としては少しでも美味しく頂いて欲しいのよね。私はメモ書き程度にマヨネーズの作り方を紙に書いてから籠を背負い、朝から王宮の騎士団に向かって歩き出した。


もちろん今回も護衛の蜂さん達は籠に控えてもらっている。




 王宮内に入る事はないけれど、門番の人に止められて用事を聞かれた。


「騎士団食堂の料理長ベンヤミンさんに野菜を持って参りました」


門番の人はすぐにベンヤミンさんに連絡を取ってくれたようですぐに食堂裏へ来てほしいと返事があったみたい。別の門番の人が私を食堂裏まで案内してくれたわ。もちろんきっちりとお礼は言っておいた。


王宮の騎士達は基本的に独身の人は寮住まいになるらしい。貴族だろうが平民だろうが分け隔てはないみたい。ただ争いを減らすために貴族寮と一般寮とは分かれているらしい。そして寮に住んでいる騎士達のごはんはベンヤミンさん達が作っているらしい。


「おはようございます!ベンヤミンさん、お野菜をお届けに参りました!」


朝の早い時間だったけれど、料理長のベンヤミンさんはわざわざ出てきてくれた。


「よう坊主。この間は新鮮な野菜をありがとうな。いつもより騎士たちも野菜を残さず食べてくれていたよ。特にトマトはお代わりをした騎士も沢山いたんだ。今日はジャガイモを持ってきてくれたんだろう?」


「うん。採れたて新鮮なジャガイモとレタスを持ってきたよ。美味しいから是非食べてみて」


私はジャガイモとレタスをベンヤミンさんに見てもらう。ベンヤミンさんは真剣な表情で1つ1つ手に取って眺めている。


「これもまたいい野菜だな。ファル、全部買い取ろう」


そういってベンヤミンさんは10000ルンを出してくれた。やった!


「まいどあり!ベンヤミンさん、お礼といっちゃなんだけど、これを作って粉ふき芋やレタスに付けて食べてみてよ」


私は走り書き程度だったけどレシピを書いた紙をベンヤミンさんに渡した。


「ファル、ありがとうな。見たこともないレシピだな、作ってみるよ。今度はどんな野菜を作る予定なんだ?また持って来てほしいんだが。それにファルの作る野菜は美味しいからすぐに無くなるんだよな」


「いいよ。また持ってくる。魔法で急いで作ると味が落ちちゃうんだよね。ある程度の時間は必要なんだ。次は早くて半月後くらいかな。じゃあまたくるね!」


「おう、楽しみに待っている。ファルのくれたレシピも作ってみて次回にはどうだったか教える」


「絶対だよ!とっても美味しいんだから」


私はそう言いながら手を振って全力で走って帰る。ゆっくりしていると家に着いた時に家族にばれてしまうわ。


 私は邸の玄関を素通りし、中庭を抜けて畑のある部屋までそっと隠れるように窓から部屋へと戻った。もちろん蜂さん達も解散。部屋に戻ってからはいつも通り勉強したり、畑の改良に勤しんだ。


明日は街に行こう。

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