雛ちゃん. Be reborn。〜冥探偵な女子高生〜

第2話：つまり器が変われば・・・。

「で？その死神がなんの用だよ・・・俺の魂を持って行こうとやって来たのか？」

「あ〜そう言うんじゃないんですね〜」

「天井にへばりついてないで、ちょっと降りてきてください・・・」

「壮介さん・・・あなたまだ死ぬ予定じゃなかったんですよ・・・まだ寿命じゃ

ありませんからね」

「壮介さんの死は予定外のアクシデントです」

「だから壮介さんの魂はあの世には行けないんです・・・死ぬ予定じゃなかった

んですから、あの世にあなたの魂を収納する器がまだ存在しませんからね」

「一度遺体から抜けた魂はもうもとの体には戻れませんし天国へ行けずこの

世を永遠に彷徨うことになります」

「まあ、それがどうしても嫌だって言うなら誰かに憑依しなくちゃ人間としては

生きていけません」

「これが不思議なことに自分の体には戻れませんが他人の体「器」になら

魂が入っていけるんですね〜・・・つまり器が変わればオッケーってことなんです」

「この場合は戻るのではなく憑依って形で入っていけるんです」

「え〜死んでないのに自分の体に戻れないの？」

「壮介さんは確実に死んでますよ、ただ不慮の事故だっただけで・・・寿命じゃ

ないだけでね」

「俺はまだ死にたくないし・・・もっと楽しいこといっぱいして死にたいよ」

「女性だってまだ知らないしチンコ使わないまま死ぬなんて最悪」

「女の子に抱きしめてもらいたいし、チューもしてほしいし・・・」

「じゃ〜誰かの体を借りるしかないですね、最近寿命で亡くなった人とか」

「けど、そんなに都合よく亡くなった人なんか見つからないでしょ？」

「それがね・・・ベストタイミングで都合よくこの病院で亡くなった人がいる

んです」

「その人なんかいいと思いますけどね・・・年恰好も壮介さんと同じくらい

ですから・・・」

「うそ、そんな人がいるんですか？」

「でもだれかの死体に乗り移るなんて、ちょっとキモくないかな？」

「まあ、多少違和感はあるとは思いますけど・・・どうします？・・・今が

チャンスですよ・・・この機を逃したらその方のご遺体火葬場で焼かれて

灰になっちゃいますからね・・・そうなると器がなくなるので、また誰か他の人を

探さなくちゃいけなくなります、けっこうやっかいですよ・・・」

「異死神（いしがみ）さん・・・なんでそんなに俺に親切なんですか？」

「私はこの世に未練を残さず喜んであの世にいけるよう魂を導く役目を担って

いるのです。

「誰の魂も現世で路頭に迷うことのないよう監視してるのですよ」

「たとえば、ケルト神話の戦乙女ワルキューレが死者の魂をヴァルハラに導く

のと同じようにね・・・」

「えらいスケールの大きな話ですけど俺に分かんない話しないでくれません？」

「この世に彷徨う魂がいてはいけないのですよ・・・それがあの世の定めです」

つづく。