第10話 高橋と芹菜

「あの〜隕石が落ちてきたって本当ですか?」


「落ちた。そんだけ?今掃除で全員忙しいから帰ってくれよ」


包帯男がシッシッと手払いしてくる。

ちょっと感じ悪い。



「待ってください。今日の朝、この教室の窓の外にいた男の人について聞きたくて…」


「!!見たのか」


ええ、怖い。

すごい目付きで私の事睨みつけてる…なんで?



「…クラスの意向で他言するなってことになってんだ。見たなら他のやつに言わずに黙っとけ」


「あ…はい。他言するなって窓から飛び降りたことを?」


「全部ひっくるめてだ。見たのはそこだけか?」


「そうですけど」


「あーそう。ま、どっちにしろ周りに言うなよ、面倒事になるかもしれねぇから」


何それ、この人は全部知ってるわけ?

私だけモヤモヤするのすごいヤダ、全部聞きたいんたけど…

この包帯男なんかイライラしてるし。




「何があったかだけ簡単に教えてくれませんか?」


「陰キャ、暴れた、教室破壊。で、隕石ってことにして誤魔化す多数決とった。可決、陰キャ帰宅。以上。帰れ」


…私の方がイライラしてきた。




「その陰キャ…の人が暴れてこうなったんですか?人が暴れた後には全く見えないんですけど。何者なんですか?」


「根暗で顔がムカつく、ただの陰キャだよ。何故か今日は俺に叫んできやがって、床が割れたんだ。」


「叫んで床が割れる…?そもそもなんで叫ばれたんですか?」


「知らねぇよ。俺があいつに殴られたとこに大袈裟に包帯巻いたからか?気持ちわりぃ、クソ陰キャが」


「殴られたって、いじめられてるんですか?」


「逆な、ボケ。俺があいつのこと虐めてんの。質問ばっかうぜぇな。もういいから教室戻れや!」



これ以上話できそうもない。帰ろう…

とりあえず一応男の存在は確認できたし。


「あっ、その人の名前は?」


「上田」


「あなたは?」


「高橋!帰れ!」



なんだあいつ。

感じ悪。


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