第9話 芹菜が見た

「まずい、また遅刻だ…」

高校一年生の芹菜(セリナ)は小走りで学校に向かう。

夏休みが明けて9月、朝方の生活リズムに体がついてこない。


「15分…ギリギリ怒られない…?いや、怒られちゃうかな」

校門をくぐり心の準備をすると、教室に向かってもう一度走り出した。


「…?」


校舎の2階に人影が見える。

2階の窓に張り付いてるように見えるが、視力が悪い芹菜はその姿をはっきり確認することが出来ない。


「なんだろあれ」


呟いた刹那、窓から人が飛び降りた。


「えっ!?」


飛び降りた彼は去り際、芹菜の姿に気づいた。

と思ったらすごいスピードで学校を後にした。




「なにあれ、なにあれ。変なの見ちゃった…」


一限の数学なんて頭に入るわけがなかった。

窓から飛び降りたあの男のこと…まだ友達には言ってない。

だってみんな2年の教室に隕石が落ちたって話題で持ち切りだし。



「2年…」

そういえば2階のあの教室、2年生の教室だ。

そうだ、確かに言われてみれば窓に穴が空いてた気がする。

だとしたら飛び降りた男は宇宙人?

でもうちの学校の制服着てたんだよな。

モヤモヤするし、昼休みに聞きに行ってみよう。



コンコン



「失礼します、1年の美川 芹菜です」

「1年?なに?」



頭に包帯巻いてる男の人…

事故にでもあっちゃったのかな。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る