第2話


「いい加減、威嚇するのをやめて、お話をしない?」

運命の女神が優しく語りかける。それでもララは「フーッ」と威嚇を続ける。女神は小さくため息をつきながら、

「もしかして、私の言ってる意味がわからないのかしら?猫にもわかるように話しているつもりなんだけど……」

少し考えた後、彼女は続ける。

「もう時間の無駄だし、対話ができる状態になってもらうわね。」

微笑んだ女神の全身から光が放たれ、それが手元に集まると、ララの体を一瞬で包み込む。すると、ララの体は徐々に大きくなり、次第に人の姿へと変わっていったのだった。


「どう? 少しは私の話を聞ける状態になったかしら?」

女神は再び優しく微笑みながら、ララに語りかける。

「にゃ? 私、どうしちゃったの? 体がくるみさんみたいになってるけど?」

ララは驚いた様子で自分の姿を見回す。

「あなたが私の話を聞こうとしないから、人の姿に変えたのよ。これで会話もできるでしょ?」

ララはあたりを見渡しながら言った。

「あなたが言ってることは理解できますが、自分の状況が理解できません……」

そう言い、自分の姿を見て、急に気づいたように言葉を続けた。

「私、裸でいるのが恥ずかしくなってきたのですが……おかしいですか?」

それを聞いた運命の女神はにっこりと微笑みながら答えた。

「全然普通のことよ。じゃあ、じっとしててね。あなたに合うお洋服をプレゼントしてあげるから。」

女神は手のひらに光を集めると、ララの首から下を包み込むようにその光を放った。すると、茶色のロングスカートに白いニットシャツ、さらに茶色の毛皮のコートを着た姿に変わったのだった。


ララは自分の姿を鏡で何度も回って眺め、喜びを表していた。

「なんか、すごくいいです! ありがとうございます!」

「いいのよ、あなたにすごく似合ってるわ。ベースはあなたの毛並みだけどね。喜んでもらえてよかったわ。」

ララは嬉しそうに頷きながら、

「すみません、ちょっと水を飲んできますね。」

と言うと、水飲み場に向かい、自分の餌箱にある水にしゃがんで舌を出してペロペロと飲み始めた。

それを見ていた女神は苦笑いしながら、

「ララさん、そのビジュアルでその飲み方はどうかと思いますよ。そもそも、飲みづらくないですか?」

ララはゆっくりとしゃがんだまま振り向いて、

「確かに飲みづらいですけど、いつもこうやって飲んでいました。」

と、なぜか自信満々に答える。

女神は優しく忠告する。

「今後は蛇口をひねって、コップに水を注いで飲みなさいね。」

「え? はい、わかりました……」

ララは少ししゅんとして返事をするのだった。


それで、そろそろ本題に入ってもいいかしら? 大丈夫、猫にも理解できるように簡単に言うから。

ララは立ち上がり、キョトンとした顔で女神を見つめ、

「え? 話ってなんですか?」

と、とぼけた感じで言う。女神は少し呆れた様子で答える。

「いや、そもそも人間の姿にしたり、お洋服をプレゼントするためだけに来たわけじゃないんだから。そんな『今更何?』みたいな感じでこないでもらえる?」

「まあ、いいわ」と呟き、軽くコホンと咳をすると、簡単に説明を始めた。

「今からあなたには試練を受けてもらいます。もちろん強制ではないので、断ることも可能よ。」

それを聞いて、ララは戸惑いながら首を傾げる。

「試練? それは……どっちの意味ですか?」

女神は少しため息をつきながら問い返す。

「試練の意味がわからないのか、試練を受ける意味がわからないのか?」

「試練の意味はなんとなくわかりますよ。でも、何をするのかなって思って……」

ララは少ししゅんとしながら答える。

「それは、今から説明するわ。」

女神は再び満面の笑顔で、試練について説明し始めたのだった。「では、試練の内容ですが、今から3日以内に飼い主のくるみさんの壊れた心を癒して元に戻してください。」

それを聞いたララはキョトンとし、いじいじしながら答えた。

「そんなこと、できるわけないじゃないですか……。いっぱい舐めても、スリスリしても、目すら覚まさなかったのに……」

女神はきっぱりと言い放つ。

「それは、あなたの癒しが足りなかったからです。」

「別にさっきも言いましたけど、強制ではありません。しなくてもいいし、試練を受けて失敗しても構いませんよ。」

それを聞いたララはあっけに取られ、恐る恐る女神に質問した。

「あの……もしお断りするか、失敗すると、くるみさんはどうなるんですか?」

女神は再び満面の笑顔で答えた。

「死にます。」

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Cats Who Read Hearts ルルパル @ruruparu

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