Cats Who Read Hearts

ルルパル

第1話

ここは、ごくありふれた普通の街のマンションの一室。

月宮くるみは、20歳の普通の女子大生。大学生になって始めた一人暮らしも、なんだかんだで2年が経った。マンションの3階から見える住宅地をぼんやり眺めながら、「何かいいことないかな〜」と、いつも通りつぶやく。冬の冷たい風が窓を叩きつけ、外はどんよりとした曇り空でした。「外は寒そうだけど、準備をしなくちゃ」といつものように独り言を言う。


その時、にゃーと聞き慣れた声がする。振り返ると、ララがいそいそと軽く走ってきて、トンっとテーブルの上に乗った。


「あー、ララちゃんも起きてきたの?おはよう」と声をかけると、ララは小さく「にゃっ」と返事をする。彼女はノルウェージャンフォレストキャットの女の子で、2歳になる。この子と出会ったのは、くるみが一人暮らしを始めた頃だった。ずっと猫を飼いたいと思っていたけれど、なかなか踏み切れずにいた。でも、知り合いに突然連れてこられたこの子を見た瞬間、一目で飼うことを決めたのだ。


「さてと、まだ苦手だけど朝食を用意しなきゃ」と、独り言を呟きながら準備を始める。ララのご飯も準備し、彼女がカリカリを食べているのを見ながら、少し癒される時間が過ぎる。


ふと時計を見て、くるみは現実に引き戻された。「いけない、もうこんな時間!早く朝食を食べて出かけなきゃ、今日は朝から授業だった!」急いでトーストを焼き、コーヒーを淹れた。本当は目玉焼きも食べたかったけど、我慢するしかない。


「ララちゃん、今日もいい子に留守番しててね。できるだけ早く帰るから」と、ドアを閉め、階段を駆け降りて行った。


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### **ララ視点**


ドアが閉まり、くるみの足音が階段を駆け下りる音が遠ざかる。ララは窓の外に目を向けた。行き交う人々や車を目で追ってはみるものの、特に興味はなかった。「みんなどこに行くんだろう?」それよりも、お気に入りのネズミのおもちゃで遊んで寝る方がいい。


そう思いながらも、ララは飛んでいる鳥や急いでいる人々を目で追っている。結局、おもちゃで遊ぶ暇もなく、ララは眠くなった。「もう寝よっと」と、いつものお気に入りのベッドに横になると、ララは不思議な夢を見た。


夢の中で、ララは大好きなくるみが苦しんでいる姿を見ていた。「やめて、止めて」と何度も叫んでも、同じ場面が繰り返される。ララの瞳から一粒の涙がこぼれた時、目が覚めた。周囲はすっかり真っ暗になっていて、部屋の中も灯り一つなく、闇そのものだった。


「良かった、さっきのは夢だったんだ…でも、くるみさん、遅いな。いつもなら暗くなる前に帰ってくるのに…」


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### **突然の出来事**


その時、外から聞き慣れた足音が聞こえてきた。「あっ!帰ってきた!」ララは嬉しくなり、玄関へと駆け寄る。にゃーと大きな声で鳴きながら、鍵がガチャッと音を立て、ドアがゆっくり開いていく。


くるみは「ただいま…」と、調子が悪そうな声で帰ってきた。靴を履いたまま、ふらふらとリビングに向かうと、ばたんっと倒れてしまった。


「どうしたの?疲れてるの?」ララは心配でくるみの周りをウロウロしていたが、頭の中にはご飯のことばかりが浮かんでいた。なんとか起こそうと、舐めたり体を擦らせても、くるみはまるで反応がなく、動かない。


どうしたらいいかわからず、ララは何度もにゃーと泣いた。泣き疲れてその場で寝てしまったが、次の瞬間、部屋が急に明るく光りはじめた。びっくりして飛び起きたララは、辺りを見渡すと、白いドレスを着た女性が立っているのを見た。


ララは思わず「フー!」っと威嚇したが、その女性は何も感じていないかのように、穏やかに微笑んでいた。


「こんばんは、そんなに怖い顔しないで」と、優しい口調で話しかけてきた。「私は運命の女神。あなたの敵ではないわよ」と彼女は続けた。そして、心の中で「味方でもないけど」とひっそり呟いていた。

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