若菜ちゃんとの生活
パチリと目を覚まし私は幸福感に包まれる、目の前には私にとっての天使、今はお嫁さんとなった若菜ちゃんが幸せそうにスヤスヤと寝ているからだ、体をまじまじと見て首元に沢山つけた跡をなぞるとくすぐったいのか少しだけ体を動かした、その姿を見て襲いそうになったのはまた別の話だ。
ふと時計を見ると時計は真下を通り過ぎている時間だったため、床に乱雑に散らかっていた服を着て、キッチンへと向かい朝食を作り始めた、気分が良い私は鼻歌を歌いながら準備していくと、目を擦りまだ眠そうにしている若菜ちゃんが起きて鎖をジャラジャラと音を立て抱きついてきてくれた。
「あら、おはよう若菜ちゃん♪」
「おはよう、美味しそう」
「ふふっ顔洗ってきたら食べよう?」
「...洗ってくる」
よちよちと体を動かして洗面所へと向かい、その間に盛り付けてテーブルへと並べていく、終わったと同時に若菜ちゃんが席に着くと手を合わせて、私は食べさせていく。
「はい、あーん」
「あーん...今日も美味しいね」
「それは...よかった」
こんなやり取りをしていると私の仕事の時間が来てしまい、名残惜しいがご飯をラップで包み着替えを終え玄関へと向かうと、若菜ちゃんは腕を広げ私は抱きしめキスをした。
「ん...いってらっしゃい」
「いってきます、いい子にしててね」
外へと出るとすぐに隣の部屋へと移動して、モニターで若菜ちゃんを観察を始めた。
彼女は私が出て行った後まだ眠かたかったのか再びベットに入ると寝息をたて始めて寝てしまった、別にこれに関しては想定内だ、昨日...いや毎日のように愛し合っているのだから。
モニターの近くに飾っている私と若菜ちゃんのウェディングドレスの姿を見て結婚してもう一年もたつ、そろそろ子どもも欲しいが異種族で女の子同士というのもあってか中々デキない、そこばっかりは天使である私でもどうにもならないのだ。
「でも、私と若菜ちゃんの子どもなら絶対可愛いだろなあ〜」
もしデキた時のために子どもの名前を考えていると、寝ていたはずの若菜ちゃんが頭を抑えて痛がり始めるのが目に入ると、思わずため息が出てしまった。
「はぁ〜、これはまた記憶を消さなきゃればならないかな」
引き出しから注射器を出し、隣の部屋へ音を立てずに戻るとキッチンの包丁で鎖を切ろうとしている若菜ちゃんを見つけ、しばらく物影に隠れてその様子を見ることにした。
「....きれて!...はやくしないと....もどってくる!」
もう戻ってきてはいるんだけどね、なんて思いながら、何度も何度も鎖を切ろうとするが包丁だけが傷ついていき足についている鎖には傷一つついていない、だが若菜ちゃんは諦めずに手を動かすが疲れてきたのか手が止まった。
「はあ....はあ......どうして...きれないの!」
健気な若菜ちゃんを見ているのは楽しいけど、そろそろ自分を傷つけそうなので後ろから声をかけてあげた。
「わーかーなーちゃん♪」
「ひっ!...こ、こないで!」
震えた手で刃の方を私の方へ向けると後ろへと後ずさり壁に背中をつける。
「もう、逃げちゃだーめ」
自分の足元にある鎖を掴み勢いよく引っ張ると体を打ちつけ包丁を落とさせ私は馬乗りの体勢を取った。
「やだっ!!はなれて!いたいのやだっ!!」
弱者の抵抗というやつだろうか、注射を打たれないように暴れる若菜ちゃんに私は思わず手が出てしまい、パァンと顔を叩いてしまった、すると彼女は赤ちゃんの様に泣き始めた。
「.....うっ......ひぐっ.....どゔじ..て....やだ.....やだ!....もう....かえして!.......やだ!」
「忘れたの?もうだーれも若菜ちゃんの事は覚えてないんだよ?仮にここから出られてもひとりぼっちだよ?それでもいいの?大好きな家族にも忘れられてるけど?言ってるよね、もう若菜ちゃんはひとりじゃ生きていけないんだよ?...だからここで私と幸せにすごすことこそが今の若菜ちゃんの幸せなんだよ?」
そう言ってあげると更に泣いてしまう、それも干からびるんじゃないかってぐらいに。
「これを打てばまた、楽になれるからね〜」
泣いている若菜ちゃんの首元に刺して薬を入れていくと涙を流しながら気を失い、ベットへと運びキスをする。
「いっそのこと全部忘れさせちゃって廃人にでもして、お人形さんにしちゃおうかな」
これ以上こんな事が続くようなら1つの手だよね、だからずーっと私だけを見てね若菜ちゃん。
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