こわされつづけるワタシ

薄暗い部屋の中に閉じ込められている若菜は何かをボソボソと言いながら横たわっている、切れかけの電球で照らされている若菜の顔は死人のようだった。


「...ころしてよ.....いたいのやだよ.....らくに....なりたい......」


部屋の外から足音がすると若菜はようやくリーゼが来てくれたと嬉しくなり顔を上げたが扉が開く事はなかったが毎日食事が投げ込まれる隙間からはリリの声が聞こえた。


「...若菜、大丈夫?」

「.....なに.....ころしに......きてくれた....の?」

「....そんなわけ...ないでしょう?あなた、全く食事に手をつけてないじゃないの!?」


そう若菜の周りには投げ込まれている食事があるがそれらには何一つ口をつけていなかったためリリは驚いた。


「....たべなかったら.....しぬる....から...」

「馬鹿言ってないで食べなさいよ!!」


近くにあるパンを持とうとするが口に運ぶことすら出来ずに手から落ちてしまった。


「......みて.......もう.......もてない.......ちから.....はいらな.....い.........ふふっ」


リリから見る若菜はもう既に壊れていて本当に殺した方が彼女のためになるのかもしれないと考えていた...けれど今の若菜がこうなってしまったのは自分勝手な行動のせいでもあると日々自分を責めていた、だが今の自分ではどうしても若菜は救えないと自身の力の無さを恨んでいた。


「待ってて若菜、あたしがあなたを助けてあげるから....だから生きて...お願い.....」


それだけ言い残すとリリはその場から去って行ってしまい、部屋の中には若菜の笑い声だけが響いた。


「.......ふへへっ..............ふふっ......ようやく.....らくになれる......しにた....く........ないな....ぐずっ.....」


笑い声だけが響いていたが、徐々に鼻を啜る音や咳をする音だったりと若菜自身ももう笑っているのか泣いてるのかぐちゃぐちゃになっている。

すると扉が開きリーゼが見下ろした様に近づくと近くに置いてある食事を手に取り若菜の口を無理やりこじ開けねじ込んだ。


「あんたに死なれたらお金がパァになるじゃないの、食べなさい」


喋る暇もなく口にねじ込まれては水を流し込まれ、それを何度も何度繰り返して行われる内に苦しくなり吐いてしまった。


「なに吐いてんのよ...って気絶してるし、起きなさい、誰の許可なく寝ているの」


首輪から電流が流れ無理やり起こすと、持ってきていた水を乱暴にぶっかけた。


「ゴホッ!ゴホッ!..........はぁ..........はぁ」


リーゼが無理やり若菜の髪を乱暴に掴み上げる。


「死にたくなくなるぐらいに愛してあげる」


その日は薄暗い部屋から悲鳴が上がり続けた。


♦︎ ♢ ♦︎


家のチャイムを鳴らすと足音がして扉が開かれる。


「あら、遥ちゃん」

「こんにちはおばさん...若菜ちゃんは....」


首を横に降られると、若菜の母親は涙を流し始めてしまう。


「あの子がいなくなってもう半年よ...お願いだから私の娘を返してよ....若菜どこにいるの...」

「これ...使ってください」


泣いている母親に遥はハンカチを差し出すと携帯に1つのメッセージが届き彼女は一言だけ言い残しその場から去った、そして急ぎで自分の家に帰ってくると家には羽を生やした女性が1人立って待っていた。


「おかえりなさいませ、ジヴァリール様」

「ここではその名前で呼ばないでって言ってるじゃない、それにまた勝手に入って...まあ今はよしとするわ、それでメッセージの件は本当?」

「ええ、信頼できる同族からの情報です」

「だとしたら不味いわね、あそこには人が好物の奴らが多いもの」


遥は制服を脱ぐと体が光に包まれるとそこには先程まで茶髪だった髪は白色になり背中には翼が生え頭には輪っかがついた。


「ちょっと準備してくるから待ってなさい」

「御意」


遥いやジヴァリールは自分の部屋に入るとそこには部屋中に若菜の写真が貼り付けられており、その一枚の写真を見て不敵な笑みを浮かべた。


「どのみち計画通りかしら、さっさと若菜ちゃんを助けちゃいましょう、その後は...ふふっ」


笑う彼女の顔はとても天使とは言い難い顔だった。


「待っててね、私の若菜ちゃん」

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