第9話 僕の過去
あれは三年前の秋のことだった
僕はその頃中学2年生で、まだあの頃は首都圏に近い都会の学校に通っていた
僕には妹がいた。「河野美子」二歳年下の妹だ。
僕と妹は子供の頃からバスケットボールのスポーツが好きでよく昔は一緒にバスケをした。
僕も小学校時代からバスケットボールをしてて中学校ではバスケ部に入部して活躍していた。
妹も小学校のバスケットボールクラブに所属していて、しかも僕と同じく運動神経万能で小学生にしては同級生の中でも背が高い方だった妹はバスケットボールクラブでもキャプテンをしていた。
同級生からも下級生からも慕われていて妹は友達も多く信頼されていた。
しかしそれがのちに悲劇になることになった。
ある日、小学校で放課後、バスケットボールクラブの居残り練習としてまだ未熟な下級生にバスケを教えるためにキャプテンとして残っていた。
その時に残っていた児童は五年生数人とと六年生でキャプテンの妹・美子とのメンバーと担当指導の教員だった。
その日、下校時間が終わり小学校高学年の居残りの児童がいて体育館でその居残り練習をしていたのだ。
それが運命の分かれ道になって美子の身に不幸が起きる。
放課後に生徒達が一通り下校して小学校の周りの警備がざるになりかけた瞬間、その小学校にとある大人の男性が忍び込んだあげくなんと、その学校の体育館に乗り込み、体育館に残った児童を人質に立てこもったのだ。
犯人はどこで入手したのかどうやら違法な密輸ルートで拳銃を懐に隠し持っていて、体育館に立てこもった際にまず銃で指導していた教師の頭を撃ち、即死させて小学校に残っていた児童や教員を脅して無理やり支配下にしたのだ。
これが小学校を現場とした立てこもり事件の発端だった。
指導していた大人である教員が死亡したことにより児童は恐怖の中、無理やり犯人の命令に従わざるをえなかった。
泣き叫ぶ子供を黙らすように拳銃で威嚇する犯人、それはもはや戦時中に子供に容赦しない軍人のような形だったらしい。
通報により警察が駆け付けたがすでに大人である教師が殺されていたのと犯人が興奮状態になっていることから下手な行動もできずにみなおびえて犯人の言う通りにした
犯人は元からこの地元の出身なのか怪しい行動もせずずっと小学校周辺のどこかに潜んでいたらしく不審者が出たなどの事前な注意喚起などの手段も取れず、犯人はいきなり小学校を狙った為に対策が取れなかったのだ。
なぜ金目の物を期待できない小学校を舞台にして特に金品も所持していない小学生を狙ったのかというと理由は犯人はその事件を起こすまでにすでに自暴自棄状態になり小学生なら自分より力が弱くて抵抗できず、児童を人質にとれば教師や保護者を言う通りにさせられるという非道な手段だ。
犯人自身が過去に学校でいじめられていた経験から学校という場所を恨んでいたのでその報復だという。
自分が貧困家庭で苦労して学校という場所で両親のことや貧困を理由に「貧乏だから人の者を盗む」だとかいいがかりをつけられていじめに逢っていたのに周りが助けてくれなかったから日ごろから金に悩まず平穏と暮らしている子供を見ると腹が立っていたとのことだ
その報復をいつか社会に大きな事件を起こしてしてやろうと警察に説得されている間に言っていた。
全く自分勝手な話だった。それで直截的な関係のない小学校を狙ったのだ
体育館の外には警察が待ち受け、説得にあたり、人質にされた児童の保護者達もすぐにかけつけた。僕もその一人だ。
中学校の部活中に突然そのニュースを知らされ妹が人質になっていると連絡を受けぐにかけつけた。
犯人は「逃走用のヘリと大金を用意しろ」と要求して「言う通りにしなければ人質を一人ずつ殺していく」と言った。
すでに1人の教師が死亡していたので誰もがうかつに行動もできないまま、指示に従っていた。
なんとか警察が説得を心みるがなかなか状況は進まなかった。
現場になった小学校の体育館の外では保護者達が「まだうちの子は救助できないのか」と怒る保護者やただただ我が子の身を案じて涙を流す母親などみんな錯乱していた。
中には「なぜ大人がいながら校内に侵入者を入れてしまったのだ、教員は何をしてたんだ」など学校の責任者に当たり散らした保護者もいた。
今は責任を押し付け合っている場合ではない,
とにかく人質の解放を優先すべしだ、と警察や教師が保護者を説得しながらなだめていた。
みなそれぞれ自分の家族が殺されないかと心配で落ち着いていられなくなって平常心を保つことすら難しくなっていたのだ.。
僕もその一人でただ「美子は大丈夫か?怪我をしてないか。無事に解放されるのか?」とただ妹のことを心配することしかできなかった。
しょせんはなんの地位も力も持っていない中学生の一般市民には何もできず、その時ほど自分の無力を感じたことはない.。
そして数時間にわたる警察官や犯人の家族を呼び出してでの犯人の説得という長期戦が始まった。
その間も僕はただ妹が無事でありますようにと祈ることしかできなかった。。
たかが力もない中学生が犯人を説得することも武力行使することもできないのだ。
立てこもりから数時間が経過し、すっかり夜になり犯人もしびれを切らして警察が突撃を考えた。
しかし数時間にわたる説得とやりとりに疲れ切ったのか犯人は突然動機を変えた。
「どうせもう捕まるだけなら死んでやる!ガキ共も道連れだ!」
と叫ぶと持っていた銃で人質に向けて発砲したのだ。
体育館の中でパアン、パアン!と銃声が響き現場の外にいた大人達が「中で銃声がしている!」
「子供たちが!」と我が子を心配する親により一時期パニック状態になった。
そして人質になっていた5人の児童に銃弾は当たった。
その後、犯人は自らの頭を打ち抜いたという。
犯人の唐突な行為により人質の児童はパニックを起こして泣き叫んだ。
犯人が人質に手をかけたことで警察は強制突入の手段に作戦を変更したが、警察が突入した時には犯人はすでに自分の頭を撃って死亡しており、現場は児童数人がが血を流して倒れてるという悲惨な描写だった。
その時に犠牲となった一人が河野美子・僕の妹だ。
転校生は元勇者 雪幡蒼 @yutomoru2
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