第3話 あの子は何者?
僕は家に帰宅すると自室で一人色々考えた。
彼女は一体何者だろうか?
特殊能力者か超能力者かそんな映画の世界じゃあるまいにとは思うがしかし確かに見てしまった。
久田さんの体から発するエネルギーのような何かを
誰にも言わないで、と言われたがこの話を誰かにしたらどうなるのだろうか?
すぐにどこかの医療機関や研究所に久田さんを調べに来ることになるかもしれない。
野獣とはいえ生き物を殺しているので警察沙汰にもなるかもしれない。
しかし僕があの能力を見たからといって信じてもらえないようなことだ。
でもたかが高校生の話なんて誰かが信じるだろうか?本人が否定してしまえば終わる。
高校生の戯言として片づけられるかもしれない
せいぜい夢でも見たんだろうとで片付けられるかもしれない
むしろゲームのやりすぎだとかアニメの見過ぎだとか僕に非難の対象が来るかもしれない。
そのことを考えて僕はこれ以上もう深く考えるのはやめた。
その出来事から二週間後、僕は久田のことが気になってしょうがなかった。
誰にも言わないで、と言われたのであの出来事は驚きではあったが誰にも話さなかった。
廊下や教室でたまに久田さんの噂話を聞いた。
「あの子、見た目も変わってると思ったけど中身もちょっと変わってるよな。今時携帯電話もスマホも持ってねえんだって」
今の時代に高校生という年齢でスマートフォンも携帯電話も持っていないとは珍しい。
パソコンをしていればあればせめてメールアドレスなど連絡先くらいはあるのではないかと思ったが誰にも連絡先は教えていないそうだ。
「連絡先聞いても、教えてくれねえし、自分の連絡ツール持ってないっていうんだ
今の時代に電話番号もメールアドレスすらもってないなんてなー」
「女子相手には可愛いけど、男子にはなんか冷たい態度とるし、変わってるな
そうそう、もうこの学校に来て一カ月目で結構コクられてるっぽいけどどれも断ってるんだって。なんか男を相手にしません!って感じするよな」
もう転校してきてしばらく経って新しい環境に馴染んはいるがどうにも異性に対してのふるまいは冷淡なものだという。
「それとも元いた町にすでに恋人でもいるのか?それで新しい学校では男と付き合う気はないとか?」
「なんか期待はずれだったぜ。もしかしてレズとか?女は好きだけど男に興味ないのはそれでじゃね?」
転校してきたばかりの時にはやたら彼女に一目置いていた連中が自分達が相手にされないとわかった途端に突然手のひらを返したように好き勝手に噂する。
僕は人のこういう部分が苦手だった。
注目を浴びる時は色々と噂をしてその結果によっては気に入らなければすぐそうやってバカにしたような態度を取るところは好きじゃない。
僕は過去にそういう経験を痛いほどしてきたからだ
「そんなことないと思うよ。単に男子との接し方を知らないだけじゃないかな。まだ転校してきてそんなに経ってないし、警戒してるのかもよ。男に簡単に心を許しちゃいけないみたいな」
僕はフォローのつもりで彼女の噂が悪い方向に流れないように歯止めをかけた
僕の彼女に対する印象はみんなとは違ったからだ
あの日の彼女の姿を見てしまったから。彼女は僕を助けてくれた。
そして謎の能力を持っていた。
それが何かはわからないけどあの日から僕は彼女を気にするようになった
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