第21話 出逢い
そろそろ5分だ。繋がるかな?
【正人だけど、優奈、話せるかな?】
【はーい、もしもし、話せまーす】
この軽いテンション。嬉しいな、今の俺には。
【優奈、家出ちゃった…】
【えー、独身貴族!!いいなー。でも、仲のいいお姉さんは?】
【そのことなんだけどさ…】
俺は優奈に全てを話した。会ったことのない優奈にこんなにも話せるなんて。
信じてるんだ、優奈を。どんな娘かも解らないけど、信じてるんだ。
ずっと聞いてくれていて、有難いことに批判や押し付けの言葉なんか何も言わなかった。
【正人は、お姉さんのこと好きだったの?】
その言葉は、普通仲のいい姉弟だってことならば、そうなるね。
でも、よく解らない自分もいる。
主任の大人の対応に、それに憧れている美優の感情も伝わってきた。
【美優は、やっぱ姉なんだよ。うん、それ以上でもそれ以外でもない。あのさ、本当は、優奈に会いたいんだ。駄目かな?ずっとチャットしてて、電話で話したら、さらに会いたくなった】
【いいよ。人見知りだったの。だからね、話して解って親しみ出てきたらって思っていたの。じゃいつ会う?】
【俺は明日まで休みだから、明日とか…急かな?】
【じゃあさ、今夜ならゆっくり話せるんじゃない?明日休みなら。何処にいるの?】
【それは嬉しいけど、今、駅前のビジネスホテルにいるんだ。※※ホテルの】
【じゃあさ、少し離れるけど美味しいスイーツ店に。そこ行かない?】
えっと…それは…もしかして?
今日、美優と行った場所かな?
詳しく聞いたが、違ったらしい。それほど遠くない場所だから、行けるけど、みんなスイーツに目がないんだな。
もちろん俺はオッケーと。
【じゃ、楽しみにしてる。目印は…青のベースボールキャップね。正人は?】
【ターコイズブレス…それくらいしか無いや】
【オッケー。じゃ、私の方が近いから。正人の時間を考えて…そうだねー、1時間後にね。先に入ってると思うから、店で待ち合わせって言っておく。混んでいたら外で待ってる】
優奈、段取り完璧だな。こういうの慣れてるのかな?人見知りってのも…いやいやいや、悪く考えない。よく考えよう。楽しみにしてくれてるんだ。
これって、緊張凄くするよな?
ヤバっ、お腹痛くなってきた。
とりあえずトイレ!!そして、急げー!!!
優奈、ずっとチャットしていて、やっと話せて、それで会えるんだ!!
うん!!夕日がいつもより鮮やかだ。
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優しさと罪 ラグランジュ @space-time
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