第22話 優奈
このお店だ。待ち合わせの場所は。
緊張してきた。ヤバいな。もう来てるかな〜
【ターコイズみっけ!!】
急に腕を掴まれた。その声って、
振り向くとすぐに解る。
優奈!!会いたかった優奈が!!!
痛っ!!
腰が、振り返った瞬間に腰が〜!!
言葉より、感情より、行動が先だったが、不用意に振り向いた自分に後悔…
【ちょ、ちょっと正人、大丈夫?】
俺に寄り添ってくれる優奈の、優しい、そして心地よい髪の香り。
まだ、お互いの顔を見ていないのに、俺は腰を痛めて肩を支えられる情けない姿に。
【正人、顔見せてよ】
優奈は優しく離れて、俺の顔を見て、
【うん!!優しくて安心出来る感じ】
優奈は、美優の可愛さとか雰囲氣とは違い、素朴な可愛いって雰囲気だ。幼さも残る感じだ。
【優奈、会えて嬉しい!!いてて…】
そこに、店の店員がやってきて、
【あの、お客様、大丈夫でしょうか?】
あっ、これは恥ずかしいぞ。いてて…
慌てた俺達は、スイーツ店に入ることもなくその場を後にした。優奈に支えられながらね。
【あー、恥ずかしかったね】
【ごめん、優奈と初めて会ったのに、こんな姿で。情けないよ…】
優菜と近くの公園に。
【脱いで】
【ここで?】
【そう、早く!】
【いや、だってさ…】
【じれったいなー、もう】
いてて…強引にシャツを、優奈って顔に似合わず強引…腰に響く〜
………………………………………………………
【これでよしっと】
湿布?貼ってくれたの?そしてなぜ持ってる?
【どうしたの?これ?】
【この湿布?これね弟が膝を痛めちゃって、買っておいて渡すの忘れてたの。それにホテル暮らしなら何も持ってないでしょ?あと、数日分の下着に、スマホの充電器に…】
【凄いな、準備…有難い】
この気遣いに、俺は優奈を、会ったばかりの優奈を気になって仕方がない。
【優奈、優しすぎるんだよ…どうして会ったばかりの俺に?】
【うーん、何でかな?自分でもわかんない】
【優奈、スイーツごめん。他のお店に行こうか。この服とかのお礼に。もちろんこの服とかの分はちゃんと払う。食事はこのお礼ってことでさ】
【じゃあねー、近くにあるリラックス出来る、ファミレス】
【いや、そんなのじゃなくて、フレンチとか】
【その格好で?腰痛めてるのに?】
ん?確かにそうか。
【そうだね、じゃ、ファミレスで。暗くなってきたもんね、急ごう。暗い公園…何があっても必ず守るけどさ】
【うん、守ってね。腰痛持ちさん】
素朴さ、素直さ、優しさの全てが完璧!!
理想を超えている女性だ、優奈。
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