第20話 守られる存在

【あれ?君もここに…弟さんと?あっ、そうか!!任せて】


 美優はその男に、言い寄られてる男のほうをそっと見てアイコンタクトしてる。


 その男は、美優に言い寄っている男に近づいて、何か話してる。


そして、戻ってきて、


【大丈夫。辛かったね。じゃ、弟さんと楽しんで。いつも美優のこと守ってくれてるんだね】


そう言うと、連れの女性のところへ。


そして、美優を怯えさせた男の姿がない。


どこ行った?


美優はスマホを取り出して、何か見える。


そして、ふぅーとため息をついて、


【あのね、さっき主任が話をしてくれて、もう大丈夫】


向こうでは、その主任が、グッジョブ👌を



………………………………………………………



全てのことを美優から聞いた。


 美優を怯えさせていた男は、取引先の人で主任が話をつけてくれたらしい。美優に近づかないこと、守れないなら取引を停止だけでなく警察に話をすると。もう二度と近づかないことを約束して和解したと。


【それで、この前も彼氏みたいな演技させたのか。もしかして母さんも知ってる?なんか美優とデートしてこいとか訳わからないこと言ってた。知らないのは俺だけ?】


【ごめんね。その通り】


 主任って、さっきの男…なんだよ、カッコいいとこ全部持っていきやがった。それに、凄い優しそうな女性を連れてる。


【主任ってあの人?彼女持ちか】


【もうすぐ奥さんになるんだって。結婚するみたい…あー、これで安心して1人でお店巡り出来るんだー】


【何だよ、それ。俺に先に言えよ。そうしたらさ…】


【そうしたら?正人、喧嘩になったでしょ?昔のこと覚えてるんだから】



そう言えば、昔…それって中学生の頃だろ。


 美優にちょっかい出してきたのをぶっ飛ばしたことあったな。



【思い出した?もうその方法では解決にならないの。それで困っていても言わなかったの。正人に何かあったら困るし、それに…】



それに?それで?自分のことより俺のこと?


カッチーン!!



【あっそ、じゃ、主任に守ってもらえて良かったな。じゃ、俺はお役ごめんってことで。あっ、スマートグラスいらない。先に帰る】


【正人、ちょっと待って!!】



何も聞きたくない。



俺はスタスタと早足で歩き出した。


美優の悩みを知らない自分に腹が立つ!!


何も出来なかった自分にも腹が立つ!!



 美優は走ってきたが、俺は自分が嫌で、美優に会って話すことも避けたい。



帰ったら美優に会うことになるな…


ノートPCだけ取りに戻って、すぐ出よう。


 俺は電車に乗り、少し離れたビジネスホテルに泊まることに。母さんにはメールしておこう。暫く留守にすると。



………………………………………………………



 駅前のビジネスホテルに。幸い無料Wi-Fiはたいていあるから助かる。この時間はログインしても、優奈いないよな。


なんか今日は無性に優奈と話したい。


 居なければ、電話するしかない…あっ、いた!!


※【優奈、ログインしていたんだ】※


※【えっ?正人?なんでこんな時間に。この前は電話途中でごめんね。で、何かあった?】※


※【話したいんだ、駄目かな?】※


※【うん。いいよ。今日はゆっくり話せる。じゃ、ログアウトするね。5分後くらいに電話する】※


※【じゃ、5分後俺から電話する。待ってて】※



5分が待ち遠しい…









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