第16話 関係性

 母さんと俺はこんな夜中に、美優を探しに。母さんは慌てる様子ない。居場所解ってるようだ。解ってはいないはずだけど。


 心配だよ。こんな夜中に。しかも、何というか、美優は可愛いほうだ。弟の目から見ても美優が俺の職場に来たら、みんな言い寄って…


【ちゃんと探しなさいよ。それでね、美優のこと。あんたはどう見てるの?】


【どう見るも何も、姉だけど?】


【それ以外は?】


【無いけど?】


【可愛いとか無い?綺麗とか】


【言いたいことは、そういうこと?母さんの自慢の娘だもんな。そりゃ、こういう言い方変だけど、可愛いほうだと思うよ。友達も美優を紹介して!!とか何度も、それ知ってるよな?それが今なんの関係があるの?】


【私の娘にしては、可愛いよね?】


【そう言われれば、確かに】


【失礼な子!!】


【自分で言ったんだろ!!で、何だよ。何が言いたいのか解らない】


母さんが、何かを言うような仕草を、


急に目線を変えて、母さんは、


【あっ、美優!!】


いたの?どこどこ?


あっ、公園のベンチに、


【美優、あんた何やってんの!!心配したわよ。もう。風邪引く前に戻るわよ】


【お母さん…ごめんなさい】


寒そうだ、泣いたみたいだな。


【正人、気が利かないね。あんたの上着貸して、美優にかけてあげて!!】


【ああ…何日か部屋着で着てるのだけど…】


【正人、ありがとう】


 月明かりに照らされた美優、上着をかけてあげると弟ながら、ドキッとしてしまう。


母さんは、


【正人、これ何日目?匂わない?こないだ注意したでしょ?あんたの部屋着って、ほんと不思議と二、三日でもすぐ汗臭くなるんだから】


【そう言う言い方無いだろ!!俺、寒いのに】


美優は上着をクンクンと、


【お母さん、正人の臭くないよ。逆にいい匂いに思える。なんか、ほっとするような】


【好きな人のなら臭いもいい香りに変わるんだね】


美優は、照れくさそうに、


【お母さん!!言い方!!!勘違いされるようなのやめてよ】


美優、笑顔だ…良かった。思わず俺は、


【笑顔がやっぱいいな…】


【えっ?あっ、涙の後…恥ずかしい…】


久々だ、こんなふうに親子3人で散歩なんて。


【はー、寒い。帰るわよ!!美優、帰ったら暖かいコーヒー☕︎でも入れてね】


3人で歩きながら帰り道。ぼそっと美優は、


【飛び出して行ったのに、こんなにすぐ…恥ずかしいな。駄目だな、私。二人の姿が見えたらほっとしちゃって】


母さんは、


【そんなもんよ。飛び出して、どこ行くつもりだったの?こんな夜中に。ねっ、そんなこと意味ないじゃない?素直になればいいのに】


【お母さん!!これでも気にしてるんだからね。何、素直って?】


【本当はクッキー🍪、正人にあげるために作ったんでしょ?素直になりなさいよ、もう】


何で俺のために?あっ!!そうか。誕生日。


忘れていたよ…彼女もいないもんな。


美優、それでクッキー🍪を。


【美優、何で言わないんだよ。それに主任にとか言ってたじゃん】


【だって、恥ずかしいじゃん…姉からなんて】


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