優しさと罪

第14話 本音

【美優、来たよ。話があるんだよね？】

【入って】

美優の部屋に入った俺は、その香りに、

【おおっ！！凄くいい匂い】

【食べてみて！！】

【クッキー🍪！！チョコチップか】

うん？美味い？

うーん…微妙…

美味しいって訳では無いけど、何とも…

【やっぱ、美味しく無い？】

【いや、美味い！！もっと貰うね】

美優、せっかく作ったんだもんな。

※バクバクバク…うぐっ！！詰まった！！！

【はい！！これ飲んで】

美優にアイスコーヒーを渡されて、

【…ふぅー、ありがとう…】

【ねぇー、美味しくないかな？薄力粉の分量間違えちゃったのかな…】

落ち込んでる…可哀想だ。

【いや、美味しいよ。もしさ、なにか付けてみたら、例えばさ、生クリーム、アイスクリームなんか】

美優、いきなり飛びついてきて、

【ありがとう！！そのアイデアいただき！！】

【痛いってば、美優。落ち着いて！！】

【あっ、ごめん。主任喜ぶかな？お礼しないとね。バイク🏍️のコツ教わったし、選んでもらったもんね】

主任にあげるために…か…

【じゃ、俺は戻るね。ご馳走様】

【正人は優しいね。失敗したのを美味しいって言ってくれたり、アドバイスくれて。頼りになる弟いてくれて良かった】

【あっそ…】

【正人？】

※バタン！！※

何怒ってんだ？俺…

……………………ログイン………………………

※【あー、自分にムカつく！！】※

※【あっ！戻ってきたね。って、何怒ってるの？お姉さんの用事済んだの？】

※【うん。とてつもなくマズいクッキー🍪食べさせられただけ】※

※【ふーん、クッキー🍪も難しいからね。私はだいたいボソボソになる。それで怒ってるの？】※

※【優奈とチャット中に部屋に勝手に入ってきたことも、後ろから抱きつかれたこと…なんでもない。ごめん、愚痴ばっかだ】※

※【ふふっ！大好きなんだね。お姉さんは弟のこと。私の弟と違って優しいもんね。どうせ、美味しくなくても、美味しい！！って言ったんでしょ】※

※【…】※

※【はい、図星！！優奈ちゃんの読唇術】※

※【読心術だろ？見えてないよな？】※

※【チャットって慌てて入力すると何かと…話せばこんなこと気にしないで済むのにな】※

うーん…ここかな？タイミングは。

※【じゃ、話そうよ。携帯番号は…】※

※【駄目！！情報漏洩！！】※

俺達だけだろ？ここでチャットしてるの。

俺は構わず伝えて、

※【じゃ、ログアウトする】※

※【あっ！ちょっと…】※

……………………ログアウト……………………

俺は待つことにした。優奈からの電話を。

　本当は怖かった。俺の理想、勝手だが優奈を作り上げてるんだ。

向こうは迷惑だろうな。