第6話 無視無視!!
【捻挫してるんだからさ〜もっと優しくしてよ。ねー、謝ってるじゃん!!スマホ買ってあげたじゃーん】
こう繰り返すのは姉の美優だ。それにだいぶ良くなっただろ。
何日も経ったが、俺は怒ってる!!ふざけるにも程がある。
ちょっと可愛いからって…可愛いなんて思いたくもない。
【怒ってませんよー、そんなに毎日毎日話したくないだけでーす】
静かになった。美優のやつ、勝手にドア開けないだけマシになったけどさ。
本当の姉弟じゃないとか、婚約者のフリをしろだとか、俺は俳優じゃないんだよ。
可哀想だけど…いやいやいや、反省させないとならないな。
俺は優奈とのチャット。それを楽しみに毎日頑張っている。そんなに頑張ってはいないが…
さて、そろそろだな。今日からは公園だったな。待ち合わせは。
※【はーい時間ピッタシ!!正人お疲れ様。間違えて山頂の自販機に行くかもって思ってたけどちゃんと公園に来たね!!素晴らしい】※
優奈は程よく俺の気持ちを察してくれている。同じ漢字の優がついてる姉とは大違いだ。
※【優奈、その優しさに癒されるよ。いつもありがとうな。間違える訳無いじゃん。優奈との約束なんだからさ】※
暫く沈黙…何?
変なこと言ったか?俺…
※【正人、声聞きたい…】※
えっ?声?無理だろ…
何も言えないよ。優奈、雰囲気違くない?
※【嘘!!気にしないで。正人が変なこと言うからじゃん。意識しちゃったよ、もう。弟にもなんか言われてるし…】※
※【俺はストレートに伝えただけで、ん、弟?何か言われたの?】※
※【姉ちゃん、最近チャットの時間が近づくとそわそわしてとか、落ち着かないって。言われて気がついたんだけど、正人のこと、ん、違った。何でもない、忘れて…】※
この世界ではイメージが先行して、優奈は俺にとって何でも話せる幼馴染みたいな。
俺も少しずつ、このチャットの時間が全ての基準になってきてる。
元々、ゲームの中で知り合ったんだけど、惹かれ始めているんだよな、優奈に。
※【優奈、もし俺たち出会ったらどうなるのかな?俺なんて平凡な平均以下だから幻滅するかな?するだろうな…】※
※【そんなことない!!】※
※【優奈?急にどうした?】※
※【ううん、ごめん。明日早いから。それと出張で何日かログイン出来ないかも。三日後には帰ってきてるから】※
※【うん。じゃ、三日後にここで】※
※【おやすみ、正人】※
※【おやすみ。出張気をつけて】※
優奈、なんか変だったな。
【こらー、正人!!聞こえないの?もうドア開けるよ】
母さん、何怒ってんだ?
【美優、泣いてるじゃない!!怪我してるのに可哀想でしょ!!姉弟なんて普通仲良いはずなのに…とにかく降りてきて】
泣くことないだろ、美優のやつ。
【解ったよ、美優びいきだな】
【怪我は完全に治ってるわけじゃないんだよ。早く降りてきて、テーピングをしてあげて】
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