第5話 姉の演技

 うひゃー、女子ばっかだ。ランチタイム&スイーツ🍰の大人気店。そして……………平日。


【挙動不審だよ、正人】


【美優、これ俺、完全に浮いてるぞ】


 ううっ…しかもここって俺の勤めてる会社の近くだよ。


 実は俺のモットーで通勤時間は極力少なくってのが職場を決めることなんだ。だからここだと…転職しても近隣にしようっと。


知り合いに会いませんように…


会社の近くにこんな店があるなんて。


【じゃ、私はねー、お腹減ったからパスタも食べちゃおう。正人は?何キョドってるの?】


【早く帰りたい…】


【せっかく来たのに。じゃ勝手に正人のも頼むね。すみませーん!!】


そこにベル🛎️あるじゃんか。大声で、


【あれ?正人?何でここに?今日休みじゃん】


ほら、いたじゃん。ケゲッ!!よりによって、


同期の奴じゃん。


【お、おう。ちょっとな…】


同期の友人は、この店では珍しく男性客。


【サボりだと思っていたけど、ん?んん!!どちらさん?その美女さんは?】


美優に興味示している。


美優もなんか落ち着かない…どうした?


【いつも正人がお世話になっております。正人の婚約者の美優です】


【馬鹿!!美優、姉だろ。何ふざけて…】


美優、なに企んで…


【あっ、こちらこそ。何だよ、正人。こんなに素敵な奥さんいたなら言えよ!!で、結婚式は呼んでくれるのかな?】


【いや、こいつ,姉…いてて、何すんだよ美優】


美優は耳打ちを、


【合わせて、お願い!!】


【何だよ、それ!!】


【お願い!!】


何かあるな。これ。こんな美優の表情初めて。


友人は、


【すみません。俺、彼女をこの店に誘いたくて、試しに来てみたんですけど周りが女性ばかりで。お邪魔だと思いますが同席してもよろしいでしょうか?美優さん】


【美優じゃなくて、俺に聞くのがスジだろ】


美優は、


【もちろんかまいませんよ。どうぞ】


かまうだろ〜何考えてるだよ。



…そのランチは何食べたかさえ覚えていない…



帰り道、車に乗り込んだ美優は、


【正人、ほんとごめん!!実はすぐ近くの席に同僚が来ていて、しつこく言い寄られていたから婚約してるって嘘ついてたの。こっち見ていたから私って解ったと思う】


【先言えよ。お陰で俺は完全に勘違いされたぞ。明日が憂鬱…】


【婚約解消したって言えば?でもさ、正人。こんな綺麗な可愛い美女が奥さんって光栄じゃない?】


普通自分で?…あながち間違っていないが…


【謝ったじゃん。ねぇ〜あ、な、た❤️】


【やめろって。もう演技しなくていいだろ】


美優は、うつむいて、ボソッと、


【正人、本当の姉弟じゃないの知らないんだ…ずっと好きだったのに…】


※キキー!!※ 危なかった…追突防げた…


【何!!じゃ、血が繋がってないってことか?】


【うん…】


マジか!!しかも好きだったって?俺のこと?


そんな、確かに可愛いほうだけど。


さすがに急に言われても…


【美優ごめん。その、姉だと思ってきたから急に言われても。少しずつ時間かけて…どうしたの?美優、泣いてるの?ごめんな。俺も少しずつ考えるから】


美優、震えてる。泣いてる?笑ってる?


【正人…ありがとう…ぷはー、ギャハハ!!駄目!!もう限界!!!んな訳ないじゃん。完全な姉と弟に決まってるじゃん。それと、俺も少しずつ考えるから?ウケる〜🤣】


 美優、ゆ、許さん!!絶対にスマホ買ってもらうからな。






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