第8話:死闘
ギルマの体は重くなり、呼吸も荒くなってきた。彼の目の前には倒れた機械兵の残骸が散らばっているが、それでも敵の気配は途切れることなく漂っていた。汗が額から滴り落ち、ギルマは一瞬の隙を見て呼吸を整えた。
その時、冷たく響く足音が静かに通路に反響した。ギルマは鋭く目を向けた。薄暗い通路の向こうから、黒いコートをまとった男がゆっくりと歩いてくる。その男の顔には無機質な微笑が浮かんでいた。
「やあ、ギルマ。随分と暴れてくれたな。」
「…カイト!」
ギルマは鋭く息を吐き、緊張が全身に走った。カイトの冷酷な目は、ギルマを値踏みするように見つめている。
「レジスタンスとお前がここまで迫るとは思っていなかった。だが、ここで終わりだ。お前たちの無駄な努力も、今ここで終わる。」
(ミラは中央制御室にいる。時間を稼げれば、作戦は成功するはずだ…)
「カイト、お前は俺が止める!」
ギルマは力強く叫び、エネルギーを集中させた。疲労が限界に近いことはわかっていたが、今ここで諦めるわけにはいかなかった。
カイトは小さく笑い、手を前に突き出した。
「その無駄な意地、いかにもお前らしい。だが、僕の力の前では何も意味をなさない。」
その瞬間、カイトの手から強烈なエネルギー波が放たれ、ギルマに向かって突き進んだ。ギルマは瞬時にバリアを張り、エネルギー波を受け止めたが、その衝撃は予想以上だった。
「くっ…!」
ギルマのバリアが一瞬にして壊された。カイトの一撃は、どんな敵とも比べものにならないほど強力だった。しかし、ギルマは必死に耐え、再び反撃のための力を蓄えた。
「これで終わりか?そんな程度では、僕には届かない。」
カイトが冷たく言い放つ中、ギルマはエネルギー光線を全力で放った。光線はカイトに向かって一直線に飛んでいく。しかし、カイトは軽々とそれを受け流し、彼自身のエネルギーをさらに高めていく。
「ならば、僕も本気を見せてあげよう。」
カイトが本格的な戦闘モードに入った瞬間、周囲の空気が変わった。彼の右手から強力な電磁砲がギルマに襲いかかってきた。ギルマは必死にそれをかわそうとするが、カイトの電磁砲は異常な速さだった。次の瞬間、ギルマにそれが直撃した。
「ぐあっ…!」
壁にぶつかったギルマは痛みに顔を歪めながらも、なんとか立ち上がろうとした。だが、体は言うことを聞かず、膝をついてしまった。
「これで終わりだ、ギルマ。今まで楽しかったよ。」
カイトはゆっくりとギルマに歩み寄り、最後の一撃を加えようとした。その時ーー
「ギルマ!」
ミラが中央制御室の端末に手をかけ、叫んだ。カイトは驚愕の表情を浮かべ、手元を見下ろした。体中から溢れていた圧倒的なエネルギーが徐々に消えていくのを感じていた。
「これは…どういうことだ?」
カイトの声には冷静さが欠け、初めて動揺が表れた。ギルマも彼の変化に気づき、膝をついたまま目を見開いた。
「女…!貴様何をした?」
カイトがミラを睨みつける。彼女は中央制御室の端末から手を離し、ゆっくりとカイトに向かって歩き出した。彼女の顔には決然とした表情が浮かんでいる。
「私は、この施設のエネルギー中枢に侵入して、カイト、あなたの力の源を遮断したのよ。このビル自体が、あなたに力を供給していたのね。だが今、その繋がりを完全に切断した。」
ミラが言った。
カイトはミラを睨みつけるが、すぐにギルマの方に目を戻した。
「貴様ら…!だが、それでも平常時に力が戻っただけ、貴様らを始末することくらいなら容易だ!」
カイトは再びギルマに向かって力を解放しようとしたが、その瞬間、ギルマが最後の力を振り絞り、カイトに突撃した。
ギルティーギルマ モノリス @Deat
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