第4話
翌日、舞花は心の中がもやもやしたままだった。放課後に一人で帰ったせいか、夏音とまだ話していないことが気になっていた。
「どうしよう…何を話せばいいんだろう」
普段なら普通に会話できるのに、昨日のことが引っかかっているせいで、どう接していいのかわからなくなってしまった。教室の中でも、何となく夏音を目で追ってしまう自分がいた。
すると、夏音が舞花に近づいてきた。
「舞花!昨日どうしたの?一緒に帰らなかったから気になってたんだよ」
夏音はいつも通りの明るい声で話しかけてきた。その笑顔を見た瞬間、舞花は胸が苦しくなった。昨日、他の女子と楽しそうに話していた夏音の笑顔が、頭に浮かぶ。
「えっと…なんか、急に用事思い出して…」
嘘だ。そんな嘘をつくつもりじゃなかったのに、気づけば口から出ていた。舞花は自分が言った言葉に少し後悔した。夏音のことをどう思っているのか、ちゃんと伝えるべきなのかもしれない。でも、自分の気持ちにまだ整理がついていなかった。
「そっか、何かあったのかと思って心配しちゃった!」
夏音の優しい言葉に、舞花は胸の奥が少し痛む。どうして彼女にこんな嘘をついてしまったのだろう?本当は、ただ夏音と一緒にいたいだけなのに、嫉妬心や不安が舞花を押し込めてしまっている。
「ごめんね…大丈夫、気にしないで」
舞花は苦笑いを浮かべたが、心の中は全く落ち着いていなかった。
「どうして私はこんなに、夏音のことを気にしてるんだろう?」
友達としての感情以上のものが芽生えていることを、舞花はぼんやりと感じていた。しかし、どうやってこの感情と向き合えばいいのかは分からない。夏音に伝えるべきなのか、それとも自分の心の中に閉じ込めておくべきなのか。
舞花は、心の中の混乱を抱えたままだった。
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