第2話

アイスを片手に、舞花と夏音は学校の裏庭にある大きな木の下で腰を下ろした。木陰は涼しく、夏の強い日差しから守ってくれていた。蝉の鳴き声が遠くで響く中、二人だけの静かな時間が流れていた。


「ここ、いい場所だね。前から知ってたの?」舞花が少し驚いたように尋ねた。普段、みんなが集まる場所ではなく、ここはとても静かで落ち着ける場所だった。


「うん、誰にも教えてない秘密の場所だよ」夏音はニッコリと笑って、少しだけ自慢げな顔をしてみせた。「でも、舞花には教えちゃった!」


その言葉に、舞花は心が少し跳ねるような感覚を覚えた。彼女にとって、この特別な場所を共有することは、何か大切な意味があるのではないかと感じた。


「ありがとう…」舞花はそうつぶやき、少しだけうつむいた。アイスが溶け始め、手に冷たい感触が広がる。それでも、舞花の心はなんだか温かかった。


しばらく沈黙が続いた後、夏音が急に何かを思い出したように言った。「ねえ、舞花は、将来どうなりたいとか、夢とかあるの?」


突然の質問に、舞花は一瞬戸惑ったが、ゆっくりと答えた。「うーん、まだ具体的には決まってないけど…でも、自分をもっと強くしたいって思ってる。」


「強く?」夏音が少し驚いたように聞き返した。


「うん、今の自分って…何か自信がないことが多くて、いつも他の人と比べちゃうんだ。でも、夏音みたいに、自分らしく生きられるようになりたいなって思うの」


夏音はしばらく考え込んでから、優しく笑って答えた。「私は、舞花のことすごく素敵だと思うよ。自信がなくても、いつも誠実で真っ直ぐなところが舞花らしい。だから、そんなに自分を責めないでいいと思う。」


その言葉に、舞花は胸が少し熱くなるのを感じた。自分では気づいていなかったが、夏音は彼女のことをよく見てくれていたのだ。


「ありがとう、夏音…」舞花はその言葉を素直に口にし、夏音の方を見た。彼女の瞳の中には、優しさと強さが混ざり合っていた。


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