第八話 我が子
ルイの父であるイヴァンは腕を組みウンウンと唸っていた
悩みの種は他ならぬ息子、ルイのことであった
自分を親バカとも思わないがあの子は何処か他の子供と違う様に感じていた
あの子が幼い頃から高い兵法書を買い集めて与えていたがそれにしても考えが読めない時がある
今まではただの違和感かと思っていたが今回の件でハッキリとした
その辺の14の子供は交渉に向かった先で嫁なんぞ見つけてこない!!
初めてのお使いの様に、失敗しても構わないからと援軍要請の交渉に向かわせたと思ったら想定の倍の兵力は連れ帰って来るわ、家格の確かな家の姫君と婚約まで結んでくるわ、あり得ないことだ。
カリンからの報告が信じられず早馬を3度も出して、ベートン家の謀ではないかと確認させたほどだ
しかし、どうやら向こうも大層ルイを気に入ったらしく3度目の早馬にはノーブル殿直筆の挨拶の書状まで伴って帰って来た時には流石に信じざるを得なかった
軍議でも自分は野戦で雌雄を決すべしとばかり思っていたのに、敵兵を削る一案まで出して来て実行まで己の手でしようと言うのだ。とてもではないが粗野な自分の息子とは思えなかった
やはりアレが良かったからなのだろうか?
アレと言うのは妻のことだ。妻の実家は代々貴族の侍女を輩出する確かな家系で数世代前に遡ると王宮にも仕えていたものがいるぐらいなのでその家格は折り紙つきだ
どちらかと言うと妻に似たのかも知れん
そんなことを考えながら軍を集めて出陣の最終段階に入る
兵400の内訳としては歩兵370、騎兵30と言った具合だ
できればベートン家の軍を前衛に出して我が軍の損耗を抑えたかったがその案を出した時、ルイからの助言で絶対にそんなことはさせない様にと言い含められていたカリンに嗜められた。渋々騎兵30騎のみ混成軍で遊撃とし、残りは指揮官単位に歩兵をつけて別働隊とすることで話はついた
軍は普段の倍の兵を養う糧食の関係で遅くとも5日後には出立することになっている
あとはルイの策が成った時に出陣し一気に城を攻め落とすことができれば此度の戦は大勝利ということになる
あの子が失敗する様にも思えんが失敗したらキチンとフォローしてやらないとな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます