第2話 有馬正人という人間とは
俺はもともとモテる人間じゃない。
むしろの反対の存在。
まったくモテなかった男子だ。
モテないから年齢=彼女いない歴だし、女性経験がないから童貞だ。
陰キャ童貞。
このワードを背負っている俺が女子から好印象を持たれるわけがない。
悪い印象を持たれないのならまだいいのだが、俺は悪い印象をもたれてしまった。
何かしたわけじゃない。
ただ俺の存在が女子たちに悪く映った。生理的に受け付けなかったのだ。
好印象どころか気持ち悪いと思われていたはずだ。
陰キャ・陽キャ問わずエロい目線は嫌いだろうが、どっちがまだマシかと言われると後者なのは間違いない。
むしろ陽キャやイケメンの視線をうれしいと思うこともあるだろう。
だが、陰キャの視線にそんなことを思うわけがない。
100%『キモい』と思われる。
そんなことはないと思うかもしれないが、これはすべて俺が経験してきたことだ。
なんの意図もないのに、女子を見ただけで『キモい』が飛んでくる。
なんなんだろうな。
口からいとも簡単に「キモっ」って言葉が出てくる女子の習性。
男に対しては何を言ってもいいと思ってやがるんだ。
そのくせ男がそれを言えばこっちが悪にされるから何も言えない。
まあ、自分自身悪かったとは思っている。
変な目線を送っていたら、変態的な目線を女子生徒に向けていたとなれば「キモい」と思われても仕方のないことだ。
特に俺は所かまわず胸元とか足に視線が行ってしまいやすいタイプだった。
だからその部分については俺が悪い。
でもそれなら近づかなければいい。
何もしなくていいから俺から距離をとったらよかったのだ。
しかし女子どもは仕返しなのか、いいおもちゃと思ったのか俺のことをいいサンドバックにされてしまう。女子たちにいじめられた。
毎日罵詈雑言を浴びせられたし、机には落書きもされた。
部活にいけば行ったらで地獄だった。
俺が先輩の彼女に強姦まがいなことをしたという嘘がでっち上げられていた。
それを先輩は信じきっていて、いいようにボコボコにされた。
酷かった。それはもう酷かった。
でっち上げの噂のせいで俺の信用はがた落ちになった。
男女問わず存在が否定される存在になった。
そうなれば俺は学校に行くことができなくなってしまった。
幸いなことに広まった嘘がでっち上げだという証明がなされたことで俺の無実が証明された。
しかしもう学校に行くことはできなくなった。
それどころか外にすら出られなくなってしまった。
人が怖くなっていた。
特に元凶となる女子という存在に対しては酷いほどの拒否反応を引き起こした。女子の声が聞こえてくるだけで頭が痛くなってくる。過去のことがフラッシュバックされる。それによりその場で倒れてしまう。
少しずつ克服はしてきているがそれでも症状それ自体は酷いままだ。
不登校で、外からあまり出られない。
しかし、いつまでもそんなことをしていられない。少しでいいから向き合わないといけない。
そこで俺は自分磨きを始めた。
もとはと言えば俺が女子生徒に嘗められたせいだ。
勉強も、運動も、容姿外見もよくなかったからだ。
死に物狂いで勉強した。
必死になって筋トレや走り込みをした。
妹に姿勢を正してもらったり、髪型のセットの仕方を教えてもらった。
自分にできることが少しずつ増えてきたことで自信が出てきた。
それにより少しずつ希望が見えてきた。
近所の高校に行くと中学時代の生徒と鉢合わせになるかもしれなかったから少し遠くの学校、それもそれなりの進学校に通おうと思った。
必死に勉強して無事高校に合格。
不登校時代に体作りにも取り組んだことで部活に入ってもついていけた。
成績優秀で、運動もできる。容姿も清潔感がある。
それは女の子からモテるようになるわ。
でもそれは俺は望んでいないことだ。
自分を守るために自分磨きをしてきたのにそれが仇となってしまった。
本末転倒な状況に陥ってしまっているのが今の俺の現状なのだ。
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