中学の時女子からいじめられた俺、いじめられないように自分磨きで爆モテするようになったが女性恐怖症なので死にそうな件
珈琲カップ
第1話 有馬正人は女の子にモテるが女性恐怖症である
「マサ、これ見てみろよ」
自分の席で勉強にいそしむ俺に遠慮なく友達の岡崎智也がスマホの画面を見せてきた。
「なんだよこれ」
「学校の裏サイトに載ってる今月のモテ男子ランキングだよ」
「そんなものがうちの学校に存在していたのか。知らなかった」
「知らなかったのか?うちの学校の生徒なのか」
「れっきとしたこの学校の生徒だ」
学校の生徒だからと言って学校の裏サイトを知ってるとは限らないだろ。
というか進学校なのにそんなサイトが会って大丈夫なのか。
「それでそのランキングがどうかしたのか」
「見てみろよ。マサの名前が載ってるぜ」
覗いてみると確かに一位の欄に俺の名前が載っていた。
「すげぇな。また一位とるなんてよ」
「また?」
「知らないのか。お前このサイトで何回も一位になってるんだぞ」
「ふ~ん」
「4回連続の一位で、通算だと7回目だぞ」
「そうなんだ」
「なんだよ、嬉しくないのか?」
「別に取りたくて取ったんじゃない」
モテる男子ランキングで一位をとったところで何も意味はない。
それでなにかもらえるわけでもないし、内申点の評価が上がるわけでもない。
何よりモテて嬉しいと思っていない。
「譲れるものならだれにでも譲ってあげる」
「それ他の男子にいうなよ。憎まれるから」
「ちなみに女遊びしている男子の上位にもランキングしているぞ」
え、何その不名誉なランキング。
それ完全に俺の悪評じゃんか。
「いいよな。モテる奴はよ」
「なにがいいんだよ」
「この二つのランキングに入るってことはガチでモテる男って意味だ。そんなのどんなに努力してもできるようなことじゃないんだ」
「そんなこと言われてもな…………」
俺は別にモテたくてもモテてていない。
モテようと努力してきたことは一度もない。
なぜか知らないけどモテてしまっているだけだ。
俺にとってかなり迷惑な話だ。
「モテたいとか言ってるがお前彼女いるだろ」
「彼女いるとはいえやっぱモテたいとは思うわけよ」
「彼女に聞かれたら殺されるぞ」
「これは困るな」
女っていうのは怖い存在だ。そんな人を怒らせるようなことをしたときどんなことをされるのか。想像するだけで怖いし、想像をつかないことをされる。
「お前のことを思ってるからな」
「お前が困ってもいいが彼女は困らせるなよ」
「そもそも俺はモテたいなんて思っていないんで」
「女の子が苦手だもんな」
俺にとって女の子は恋愛の対象となる存在ではない。
俺にとって女の子は危険な存在。
危険対象だ。
それも命の危機に瀕するレベル。
おおげさかもしれないが俺にとっては大げさじゃない。
パーソナルスペースに侵入してきたら反射的に距離をとる。日常生活においてそんなことはたやすくできないからある程度は我慢するが、我慢しすぎたら失神してしまう。
危険対象となってしまっては恋愛対象になることなんてない。
だからモテたところで俺には何も得がない。
モテるだけで危険な目にあうということだ。
「そうだとしても奴がモテてるのはかなり腹が立つんだが」
「知るかよ」
好き勝手に嫉妬しないでほしい。
「まあ、学年首席で運動神経もいい奴がモテないはずがねぇもんな。顔も悪くないし」
悪くはないって言い方をされたな。
智也の方がイケメンだと思うんだがな。
「今月何回告白された?」
「3回だったかな」
「ひと月で3回も告白されたのかよ…………」
「今月は少ない方だった」
「3回で少ないのか。ちなみに最多何回だ?」
「最多?確か8回かな」
「……………俺、お前の友達止めようかな」
「なんでだよ」
「そんなボロクソにモテてる人間の友達なんてしていたら嫉妬で狂いそうになる」
「俺は望んでこんなことになっていない」
「尚更友達止めようかと思って来たぞ」
こんなことぐらいで友達をやめるなよ。
それにこっちは告白を断るだけでもかなり死にかけるんだからな。
「そんなんだから女遊びしている男子生徒ランキングに入るんだよ」
「誰とも付き合っていないし、遊んでもないんだが」
「酷い振り方したとかじゃないのか?」
「そんなことないぞ。なるべく真摯かつはっきりと告白は断っている」
「真摯かつはっきりとか」
「ああ。じゃないと後々面倒なことになるからな」
「経験豊富な人間にしか言えないセリフだな。それ」
「経験したくもないことだけどな」
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