寿司屋に行くと困ってしまうユダヤ教徒

 Q.ユダヤ教徒はエビ・カニ・イカ・タコ全部食べないってホント?

 A.コシェル(旧約聖書に基づいた食に関する規則)を守っている方は食べないが、家庭にもよる。


 「コシェル(カシュルートとも)」と呼ばれるユダヤ教の食事規則は複雑怪奇で、例えばイスラム教と違って酒は良くてもチーズバーガー(乳製品+お肉)はダメ、といった具合にかなり多岐に及んでいる。

 イヴェット・フロリオ・レーン著「食の図書館 エビの歴史」によれば、「レビ記」11章10節から12節で甲殻類全てと牡蠣・ハマグリなどの貝を含むあらゆる軟体動物(タコやイカも)、そして鰭・鱗を持たない魚を食べることを禁じているそうだ。


“But all creatures in the seas or streams that do not have fins and scales—whether among all the swarming things or among all the other living creatures in the water—you are to regard as unclean. And since you are to regard them as unclean, you must not eat their meat; you must regard their carcasses as unclean. Anything living in the water that does not have fins and scales is to be regarded as unclean by you.”


Leviticus 11 NIV - Clean and Unclean Food


 日本語訳:「しかし、海や川にいるすべての生き物で、ひれとうろこのないものは、群がるすべてのものの中であれ、水中にいる他のすべての生き物の中であれ、あなたがたにとって汚れたものと見なしなさい。そして、あなたがたはそれらを汚れたものと見なすべきであるから、その肉を食べてはならない。あなたがたはその死骸を汚れたものと見なしなさい。水中に生きるもので、ひれとうろこのないものはすべて、あなたがたにとって汚れたものと見なされるべきである。」


 この通り、モーセの律法ではエビは不潔な「トレイフ(非コシェル食品)」とみなされているらしい。

 これだと、日本観光しに来たユダヤ教徒の方をうかつに寿司屋に連れていってしまったりしようものなら食べられるものがあまりないのでは? とか思ったりしたのだが、実際にユダヤ人の方数名にお聞きしてみたところ、家庭によって、そして個人の考えで守る・守らないにばらつきがあるようで、若い人はそこまで厳格に従っていないようだ。


 ちなみにイスラム教ではエビについては見解が分かれているようで、食べてもいいとする場合と、小エビとラングスティーヌ(大型のエビ)で前者はいいが後者はダメみたいなこともあるんだとか。

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