第7話 終焉の時
芥川大輔は静かに座り、虚無の空間を見つめていた。彼の心の中には、破滅をもたらす力が満ちていたが、同時に冷たい無力感も広がっていた。次々と能力者を倒し、その快感を享受してきたはずなのに、今はただのつまらない日々が続いている。彼は「刻ノ時」を支配し、もはや何の刺激もない世界に生きることに疲れ果てていた。
「こんな日々に意味なんてない」
彼はため息をつき、その場でひとり呟く。勝利の快感はもはや色褪せ、彼の心には虚無が広がっていた。全てを消し去り、自分だけが残るという夢も、今や彼にとっては意味を成さなかった。
そんなとき、彼の中でふと一つのアイデアが浮かんだ。もし、彼が「刻竜」の力を使って過去を変え、世界を滅ぼすことができれば、そこに新たな刺激が生まれるのではないか。彼は、その考えに胸を躍らせる。
「過去を変えれば、全てが変わる。新たな混沌が生まれるはずだ」
彼は刻竜の力を呼び寄せ、自身の意志を全ての時間に向ける。時を変えることで、新たな破滅をもたらす。彼は今や自らの人生を退屈と感じ、そのつまらなさを打破するための手段を選んだのだ。
大輔は心の奥で「刻竜」を呼び起こし、時を操作する準備を整えた。彼の意志が通じると、周囲の空間が変わり始め、彼の前に時空の扉が現れた。
「さあ、行くぞ」
彼はその扉を開き、過去の世界へと飛び込んでいく。彼の心には、絶望の中から新たな可能性を見出すという期待が渦巻いていた。どんな世界が待ち受けているのか、どのように破滅をもたらすのか、彼の興奮が再び高まる。
大輔は過去の世界に降り立つと、目の前にはかつての仲間たちの姿があった。彼は彼らが力を結集して立ち向かおうとしている瞬間を見て、笑みを浮かべる。彼は彼らを倒すのではなく、全てを壊すための道具として使おうとしていた。
「もう、何もかも終わらせてやる」
彼は心の中で決意し、再び刻竜の力を発動させる。周囲の空間が歪み、時が止まる。その瞬間、彼の意志が時間そのものに影響を与える。彼は「刻ノ時」を変える力を手に入れたのだ。
彼はその力を使い、時の流れを操って過去の出来事を改変していく。彼の心の中で、復讐心が再び燃え上がり、世界を滅ぼすという強烈な欲望が広がっていく。
「全てを崩壊させる」
彼は高らかに叫び、その瞬間、彼の周囲で激しいエネルギーが発生する。世界が揺れ、時が破壊され、彼の思い通りに進んでいく。彼の心の奥には、無限の破滅への期待が広がっていた。
しかし、その時、彼の心に一瞬の迷いが生まれる。彼は過去を変えることができたとしても、果たしてそれが本当に自分の求めるものなのか?その疑問が彼の中で渦巻く。
「全てを滅ぼすことが、本当に俺の望みなのか?」
彼の心に浮かんだ疑問は、次第に大きくなり、彼を苦しめる。彼は自らの欲望に抗おうとするが、すでに彼の意志は破滅に向かって進んでいた。彼は一度選んだ道を戻れないと感じ、再びその道を選ぶ。
彼は力強く叫び、周囲の空間を崩壊させる。彼の意志が全ての時間と空間を破壊し、無に帰す。その瞬間、彼の心には再び快感が広がった。過去を変え、世界を滅ぼすことで、彼は新たな刺激を得ることができる。
「これが、俺の選択だ」
彼は満足し、その瞬間、世界は崩壊し始める。彼の心の中で復讐心が渦巻き、絶望が広がる。その影響は周囲の者たちにも及び、彼の選択によって新たな破滅の時が訪れる。
世界が崩れ去る中、大輔は孤独を感じていた。彼は全てを消し去ったが、その心には何も残っていなかった。全てを手に入れたはずなのに、彼の心には無の空間が広がっていた。
「これが、俺の運命か」
彼はその言葉を呟き、崩壊する世界を見つめていた。全てを滅ぼしたその先に、彼が求めていたものは何だったのか。彼の選択がもたらしたものは、果たして本当に彼の望んだ未来だったのか。
彼は再び孤独に包まれ、過去を変えたことで生まれた新たな虚無に直面していた。彼の人生は終わりを迎え、自己の欲望に抗うこともできず、ただ時の流れの中で消えゆく存在となってしまった。
そして、彼の心の中で、破滅の時が静かに訪れるのだった。
刻竜~kokuryu~ 白雪れもん @tokiwa7799yanwenri
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