第6話 破滅の悪戯

暗闇の中、芥川大輔は静かに座り、過去の記憶を思い起こしていた。彼が「刻竜」の力を覚醒させ、自己の運命を選んだあの日。彼は自らの力を他者にも分け与えたことを思い出していた。生まれる前の自分に加え、約三十人の能力者たちにもその力を託けた。彼はそのことを楽しむように笑い、今や自分のゲームを始める準備を整えたのだった。

「そうか、俺はもう一度、全てを手中に収めることができる」

彼は指を絡めて、ゆっくりと微笑んだ。心の奥にある暗い欲望が再び湧き上がり、彼はそれを味わうことを決めた。能力を持つ者たちを一人一人倒すこと、それは彼にとって遊びのような感覚だった。過去の自分を越え、力の象徴として新たな地位を築くためのゲームが始まる。

「刻ノ時」の空間を通じて、彼は能力者たちの動向を把握することができる。彼らはそれぞれ異なる能力を持ち、彼に対抗しようと試みていた。だが、彼にとってはそれがただのゲームであり、彼自身の楽しみであった。

「俺のゲームに参加してくれ」

彼は心の中で呟き、次に狙うべき者たちの名前を思い浮かべた。元々、彼が分け与えた能力者たちには、それぞれ特異な力が存在した。彼はそれを利用して、彼らを一人一人排除していく計画を立てた。

「まずは、あの男からだ」

大輔は、彼の周囲の空間を操作し、別の場所へと移動する。彼が狙うのは、かつての仲間であり、今は彼にとっての敵となった能力者だった。その名は「水島廉」。彼は水を操る能力を持ち、その力で周囲を封じ込めることができる。だが、今の大輔にはその程度の力は通用しない。

「水島、遊びに来たぞ」

声をかけた瞬間、水島は驚愕の表情を浮かべた。彼は瞬時に周囲に水のバリアを展開し、攻撃の準備を整える。しかし、大輔はその様子を冷静に眺めていた。彼の心の中では、勝利が確信へと変わっていく。

「刻竜、行け!」

命令と共に、刻竜が動き出す。水島のバリアに向かって猛進し、その一撃を叩き込む。刻竜の力が炸裂し、水のバリアは一瞬で崩壊した。水島は恐怖に顔を歪め、反撃を試みるが、もはや彼の攻撃は届かない。

「お前の攻撃は必ず当たらないんだ」

大輔は笑みを浮かべ、そのまま水島へ向かっていく。彼の心には余裕があり、勝利を確信した。水島の動きは封じられ、彼の目の前には逃げ場がなかった。

「や、やめろ!」

水島の悲鳴が響くが、大輔には響かない。彼は刻竜を操り、水島を包み込むように攻撃を加えた。その瞬間、水島の身体が崩れ落ち、彼の力が消失するのを感じた。

「一人、倒した」

彼はその勝利に満足し、新たな獲物を探すために次の場所へと向かう。彼にとっては、これは単なるゲームであり、次々と能力者を倒すことが快感となっていた。

次に狙うのは、「雷崎晴斗」。彼は雷を操る能力を持ち、瞬時に攻撃を加えることができる。しかし、彼の持つ能力も、大輔には通用しなかった。

「雷崎、また会ったな」

大輔は彼に声をかける。晴斗は彼を見て一瞬戸惑ったが、すぐに攻撃の構えを取る。しかし、大輔は余裕を持ってその動きを見守る。

「どうした?攻撃してみろよ」

彼の挑発に晴斗は怒りを露わにし、雷を発生させる。彼は瞬時にその力を放ち、大輔へと向かってくる。だが、大輔はその攻撃を容易にかわし、刻竜を呼び寄せた。

「刻竜、行け!」

彼の命令に応じて刻竜が動き、雷の攻撃を一瞬で無力化した。その瞬間、晴斗は絶望の表情を浮かべ、反撃の余地を失ってしまった。

「どうだ、俺のゲームは楽しいか?」

晴斗はその瞬間、完全に追い詰められた。彼の力はすでに大輔に対抗するには無力であり、絶望が彼の心を覆っていく。大輔はその姿を見て、心の奥から快感を覚えた。

「もう、終わりだ」

大輔は冷静に刻竜を操り、晴斗に向かって攻撃を放つ。その瞬間、晴斗の身体が崩れ落ち、彼の力が消えていくのを見届けた。

「二人目、倒した」

彼はその勝利に満足し、さらに新たな獲物を求めて進んでいく。彼の心には、さらなる快感と興奮が渦巻いていた。彼はすでに、このゲームの達人になりつつあった。

大輔は次々と能力者を倒しながら、その快感を楽しんでいた。彼にとって、これは生きるためのゲームであり、全ての存在を消し去るための挑戦であった。

「次は誰を狙おうかな」

彼は心の中で呟き、再び狙うべき者たちを思い浮かべる。能力者たちの姿は、彼にとってただの駒であり、彼が楽しむための道具だった。彼の内に秘めた破滅の欲望が、さらに彼を駆り立てる。

「全てを消し去り、俺だけが残る」

彼はその言葉を口にし、さらなる力を求めて進んでいく。彼の心には希望の光など存在せず、ただ自己満足と破滅への欲望が満ち溢れていた。ゲームはまだ始まったばかりであり、彼はその渇望を満たすために、再び新たな挑戦へと向かっていくのだった。

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