イケナイこと 5
苺果ちゃんの下着を脱がすこともしないし、挿入するようなこともない。
スマホのアラームが鳴った。出勤時間の一時間半前に鳴るようにしている。
最後に苺果ちゃんのブラを直して、服のボタンを留めなおす。
ぽや~っとした目で苺果ちゃんが僕を見てくるので、もちもちのほっぺを引っ張った。
「……物足りない」
苺果ちゃんがつぶやくので、僕はくすりと笑った。
「かわいいね」
「……ありがと」
そっぽを向いてしまった。
僕は苺果ちゃんと離れてキッチンに向かい、洗い物をはじめた。皿やフライパンなど、食べた側が片づけをするべきだろう。おなかはいっぱいだけどやるべきことのために体は動く。
こんな僕に料理を作ってくれる人がいることは幸運だ。
結婚の話も、本気ではないとしても、してくれる人がいることも幸福だ。
僕は今、幸せなのだろう。
――視界が潤む。両親が死んで、天涯孤独になってしまった上に友達もおらず、彼女もできない人生だった。もう人生はこのまま終わるのだと悲観していた。なのに、こんな人が現れるなんて、思っていなかった。大好きだ、苺果ちゃんのことが。もし苺果ちゃんがいなければ、僕の人生は闇に閉ざされてしまう。
苺果ちゃんに、なにもかも捧げよう。
そうして捨てられたら、今度こそ命を捨ててしまおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます