第14話 禁忌の力

霜花(そうか)は書庫の中で巻き起こった奇妙な風を感じながら、目の前に広がる異変に目を見開いた。彼女が手にした巻物が、ただの古い文書ではないことは明らかだった。その巻物から発せられる謎の力が、彼女とその場にいる黒装束の敵を一瞬にして包み込んでいた。


禁忌の巻物

巻物を使って攻撃を防いだ霜花は、その巻物が単なる書物ではなく、何らかの秘めた力を持っていることに気づいた。目の前の敵も同様に驚いていたようで、剣を構えながら後退した。


「これは……何だ?お前、何をした?」

黒装束の男が不審な目つきで霜花を睨みつけた。彼の動きは警戒心で満ちていたが、その一方で彼自身も巻物が引き起こした異変に戸惑っていた。


「私も……わからない……」

霜花は巻物をじっと見つめ、そこから放たれる不気味な力を感じ取っていた。巻物には何か大きな秘密が隠されている——それが麗華(れいか)の追い求めた力と繋がっているのかもしれない。


男はもう一度霜花に向かって剣を振り下ろそうとしたが、その瞬間、巻物から再び風が吹き荒れ、男の動きを封じた。


「なぜ……動けない……?」

黒装束の男は巻物が放つ力に押さえつけられたように、その場で動けなくなった。霜花はその隙を見逃さず、急いで書庫から逃げ出した。


新たな真実

霜花は息を切らしながら書庫を飛び出し、巻物をしっかりと抱えながら、後宮の暗い廊下を駆け抜けた。彼女の胸中は混乱していた。麗華が狙っていたものは、単なる皇位や権力ではなく、この巻物に封じられた禁忌の力であることが明らかになりつつあった。


「この力を解放すれば、一体何が起こるのか……?」

霜花は巻物の恐ろしさを感じながら、すぐに皇帝・廉明(れんめい)の元へと向かった。この情報を皇帝に伝え、どうにかこの禁忌の力を封じ込めなければならないという一念が、彼女を動かしていた。


皇帝への報告

霜花は皇帝の控室に急ぎ駆けつけた。廉明は彼女の緊張した表情を見て、すぐに事態の深刻さを悟った。


「霜花、何があったのだ?」

彼の声には不安が混じっていたが、その眼差しは冷静さを保っていた。


「陛下、この巻物をご覧ください。麗華様が狙っていたのは、後宮の支配ではなく、この巻物に封じられた禁忌の力です。」

霜花は巻物を差し出し、そこで起こった異変を詳細に報告した。


廉明は巻物を手に取り、その古びた紙をじっと見つめた。彼の表情は険しく、目の前の巻物から放たれる不可解な力を感じ取っているようだった。


「この巻物は……古代の禁忌に触れたものだ。この国が長年封じ込めてきた、恐ろしい力に繋がっている。」

廉明は低い声で呟いた。


「禁忌の力……」

霜花はその言葉に背筋が凍りつくような感覚を覚えた。


「麗華はこの巻物を手に入れ、この力を解放しようとしていたのか?」

廉明は自分に問いかけるように言ったが、その瞬間、彼の表情がさらに険しくなった。


「もしこの力が解放されれば、帝国全体が危機に陥るかもしれない。麗華が追い求めたものは、ただの反乱ではなかった。この国の根幹を揺るがす何かだったのだ。」

廉明は巻物を慎重に封じようとしたが、その時、突然、外から大きな叫び声が響き渡った。


後宮の異変

「敵だ!敵が現れた!」

外で兵士たちが慌ただしく動き回る音が聞こえ、霜花と廉明はすぐにその場を出た。庭園に足を踏み入れると、黒装束の集団が再び現れていた。彼らは後宮の門を突破し、次々と兵士たちを倒していた。


「またか……!」

廉明は剣を抜き、兵士たちに防衛を命じた。


「この巻物を狙っているんですね……!」

霜花は巻物が持つ力に敵が気づいていることを理解し、再びその巻物を守る覚悟を固めた。敵はこの禁忌の力を手に入れるために動いていたのだ。


黒装束の謎の男

その時、一人の黒装束の男が庭園の奥から現れた。彼はほかの敵とは違い、明らかに指揮官のような立場にあり、冷徹な目で霜花と廉明を睨んでいた。


「ついに見つけたか……禁忌の力を手に入れるのは、この私だ。」

その男は不気味な笑みを浮かべ、霜花に向かって手を伸ばした。


「お前は……何者だ?」

霜花は剣を構えたが、男はその問いには答えず、静かに言葉を続けた。


「麗華様が叶わなかった夢を、私が引き継ぐ。この国は変わる。禁忌の力を手に入れることで、真の秩序が生まれるのだ。」

その言葉に、霜花は息を呑んだ。麗華の背後には、まだ見えない勢力が存在していた。そして、その勢力がこの禁じられた力を狙っている。


「それが麗華の真の目的だったのか……!」

霜花は男を睨みつけながら、巻物を強く抱きしめた。これを渡せば、帝国は崩壊するかもしれない。彼女はその責任を重く感じながらも、巻物を守るために決意を新たにした。


戦いの幕開け

「この巻物を渡すわけにはいかない!」

霜花は声を上げ、黒装束の男に向かって剣を振りかざした。男は静かに微笑み、鋭い剣を振り下ろしながら霜花に襲いかかった。


廉明もまた、剣を抜き、敵の集団に立ち向かっていった。彼の動きは素早く、次々と敵を倒していったが、その数は多く、庭園全体が戦いの場となっていた。


「私たちは、この巻物を守らなければならない……!」

霜花は自分にそう言い聞かせながら、男との激しい戦いを繰り広げた。禁忌の力を巡る戦いが、ここに本格的に幕を開けたのだった。


新たな脅威の気配

戦いが続く中、霜花は背後に不気味な気配を感じた。巻物から発せられる力が再び強まっており、それに反応するかのように周囲の風がざ

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