第4話 追い詰められた夜


霜花は足音を聞きながら、急いで書庫を抜け出し、後宮の暗い廊下を駆け抜けていた。背後からは依然として足音が響いていたが、彼女は冷静さを保ち、必死に隠れられる場所を探していた。


「誰が私を追っているのか……?」

霜花の頭の中は疑問でいっぱいだった。皇帝からの密命を果たそうとしている自分が、なぜ突然襲われるのか。


ついに追手の足音が近づき、霜花は宮殿の一角にある小さな庭園に足を踏み入れた。庭園の奥に隠れると、彼女は息を潜め、じっと様子を窺った。


すると、数人の影が薄暗い光の中に現れた。その中の一人は、昼間霜花に警告を与えた麗華の侍女であることがわかった。


「やはり……麗華様の手の者か……」

霜花は心の中で呟き、冷静に事態を見守った。


「見つからないのか?」

侍女たちは苛立った様子で辺りを探しながら話していた。


「陛下に忠実な女官だと聞いていますが、こんなに逃げるとは思いませんでした。」


「逃がすな。必ず見つけ出せ。」

その言葉を聞いた霜花は、自分がすでに後宮の陰謀の中に深く巻き込まれていることを痛感した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る