Orcus
・ひとつ前の部屋に戻る
https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085432486418
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案の定、正方形の部屋だった。
入ってすぐに、周囲を見渡す。
あの豚みたいな悪魔がひそんでいるとも限らない。
部屋の隅まで目をさらにして見つめた結果、なにもないと判断した。
突き当りに扉がり、そこに向けて部屋をまっすぐに進んだ。
何もないというのは、こういう異常な空間にあっては、何かあるのと同じぐらい、あるいは、それ以上の不安をもたらす。
空気につぶされる――そんな感覚を初めて味わった。
スニーカーで歩く、ほんの少しの距離がずいぶんと長く感じられた。
背中に汗が吹き出す。
踏み出す足が重い。
吐き気がこみあげてくる。
突き当たりの扉の色は赤。いや、赤黒と言ったほうがしっくりくる。
何か嫌な予感がする。
ここを開けるなと警告されているようだ。
僕は恐怖を飲み込む。
天使の剣がついている。何かあれば、これで戦ってやる。
さっきの悪魔みたいに
僕はドアを開けた。
・赤黒いドアの部屋へ
https://kakuyomu.jp/works/16818093085371501586/episodes/16818093085432633800
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