第38話
ロンド レベル18 ジョブ:【付与術師】 ステータスポイント:0 加護:【時導神リムレス】
筋力:31 体力:11 魔力:50 魔法力:11 敏捷:31 運:1
自分のステータスを確認していた。レベルはかなり上がっているし、ステータスもアタッカーとしてかなり最適化されている。
その分、攻撃を喰らったときはひとたまりもないが、そこは仕方ない。
これだけあれば、ひとまず【岩石遺跡】の魔物たちならばどうにかなるはずだ。
街の東側にある【岩石遺跡】の入口に到着した俺は、その黒いゲートをじっと見つめていた。
ゲートからはかすかに魔力が漂っている。
ここも、念のためにということでダンジョンの入口に見張りがいた。
周りには他の冒険者の姿もちらほら見える。ゲート周辺が待ち合わせ場所になっているようで、皆誰かを待っているようだ。
場合によってはここでパーティーメンバーを探している人もいるようで、俺も何度か声をかけられたが断り、中へと踏み入れる。
内部はまさに遺跡という造りだ。
古代の石造りの壁には、魔石の光が淡く反射しており、どこか荘厳な雰囲気が漂っていた。
広い回廊が続いており、似たような景色が続いている。
ゲームと違い、マップが目に見えるわけではないので……迷子にならないように注意が必要だな。
そんなことを考えながらしばらく進んでいくと、俺の目の前に黒い霧が集まっていく。
現れたのはストーンゴーレムだ。
巨大な岩の塊でできた体を持ち、ゴツゴツとした腕でこちらに向かってくる。足音が響き、地面が揺れるほどの重厚な体だ。
「ゴガガガ!」
ストーンゴーレムが威圧するように声を張り上げる。
俺はすぐに剣を構え、【加速】を発動する。
素早く距離を詰め、一撃を放つ。しかし、ストーンゴーレムの体は岩で覆われているためか攻撃は弾かれる。
俺の剣は同じレベル帯でも優秀なものであるが、さすがに相性が悪い。
もっと高レベル帯の剣であれば問題なく斬れるのかもしれないが、このまま戦うと時間がかかりそうだ。
ストーンゴーレムが拳を振りぬいてきたが、それを俺は後退してかわす。
……剣がダメなら、武器の属性を変化させれば。
剣系の武器は斬属性がついている。ストーンゴーレムは魔法属性に弱いのだから、武器の属性自体を変えてしまえばいい。
以前、スケルトンロードと戦ったときのように【付与術師】で【魔法】属性を付与すればいい。
すぐに俺は【まほう】 という文字を剣に付与する。ただ、一度で付与しきれないため、二度行う。
さらに言えば、ストーンゴーレムは【水】が弱点なので、剣に水属性を付与する。
これで、ストーンゴーレムへの特効武器の完成だ。
ストーンゴーレムの攻撃をかわし、再びストーンゴーレムに向かって斬りかかった。
俺の一撃によって、ゴーレムの腕が吹き飛んだ。
「ご、ガガガ!」
落ちた腕は黒い霧となって消滅する。ストーンゴーレムが慌てた様子で拳を振りぬいきたが、それを俺は剣で弾いた。
あとは、簡単だ。
俺は一気に懐へと入り、剣を突き刺した。
「が……アァァ……」
俺の一撃がゴーレムのコアを貫くと、ストーンゴーレムの体は崩れ落ちた。ゴーレムの体が砕けて霧のように消えていくと、周囲に静けさが戻る。
ドロップしたアイテムなどを回収しながら、自分の状態を確認する。
とりあえず、問題なさそうだな。
……ストーンゴーレムは動きが遅いので、ダメージが通るならかなり余裕をもって戦えそうだ。
俺は深呼吸をし、遺跡の奥へと続く道を進んでいった。
【岩石遺跡】で一日レベル上げを行った俺は、特に大きな問題もなくその日の狩りを終えることができた。レベルも20まで上がったし、順調だ。
夕方の街を楽しみながら屋敷へと着いた俺はそのまま自分の部屋へ向かおうとしていた時、リーニャンの姿を見つけた。
ちょうど玄関周りの掃除をしていたようで、こちらに気づいたリーニャンが僅かに口元を緩めた。
「ロンド、お帰り。今日はどこかに出かけてた?」
「休日だったからな。ダンジョンで、レベルをあげてたんだよ」
「レベルあげ……それ、休日じゃなさそう」
「いや? そんなことないけどな」
……まあでも、冒険者を仕事としている人たちからしたら休日ではないか。
「ダンジョンはパーティーで挑んでるの?」
「いや、ソロだ」
「ソロ……危険じゃない?」
「でも、一人の方が気楽に戦えるからいいんだぞ?」
「ダンジョン内では、気楽じゃない」
じとーっとした目を向けてくる。
……まあ、そうかもしれないけどな。
「俺にとっては気楽なんだよ。それに、相手はストーンゴーレムだからな。動きが遅いから対処は楽だった」
「ストーンゴーレム……確か、【岩石遺跡】に出る魔物?」
「ああ」
「……ソロで、あそこに挑めるのは、凄い」
驚いたように声をあげる。
……別に自慢するつもりはなかったのだが、リーニャンは心底驚いた様子だ。
「まあ、慣れればな。リーニャンは……仕事はどうだ? もう慣れたか?」
「うん。皆、いい人たちだから……いい感じ」
「……それなら良かった」
楽しそうな笑顔を浮かべるリーニャンに、俺も笑みを返した。
……とりあえず、今のところリーニャンが変な動きをしていることもない。
あまり、気にせずにこれからも接したほうがいいだろう。
リーニャンとの会話はそこそこにして、俺は自分の部屋へと戻っていった。
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