第87話
相次ぐメンバーの脱退や活動休止の中、2期生で入ったばかりのMOも市民演劇祭本番の日が、出演する別の公演の本番と重なっていたことが発覚し、市民演劇祭を降板。これに伴い、僕はキャスト都合による脚本修正を余儀なくされてしまった。MOは大晦日のカウントダウンイベントには出演することになった。
市民演劇祭の稽古を夕方まで行い、休憩を挟んで夕方から夜にかけてはカウントダウンイベントの稽古となった。運営とメンバーの一体感を見せるためというKKの判断により、僕やAY、KKもチョイ役ではあるものの、キャストとして出演することになった。演劇祭の演出や、名ばかりの運営代表という精神状態の中、カウントダウンイベントは幸いにもセリフが3行程度の出番だったので、そこまでの負担にはならなかった。
カウントダウンイベントは、おとぎ話や童話をモチーフにした作品であったため、僕らはカラオケに行って既存曲のCDダビングをすることになった。地元のフリーペーパーの制作もあったので、僕はそのままカラオケ店に向かったのだが、いつも駅まで送迎をしていたNRはこの日TTに駅まで迎えに行ってもらったらしい。
演出を担当するAMや、歌唱活動をしているTH、そしてKKとAYも合流して歌を歌いながら、CDのダビングをすることになった。しかし、相変わらず歌が苦手な僕は、そのダビングの間も曲のキーのずれに気づくことができないほど鈍感だった。
地元のフリーペーパーの秋号も何とか完成させることができ、仕事を辞めた弟も地元のコンビニのアルバイトとして一旦は仕事先が決まったと報告があり、仕事や家庭のほうではひと段落ついたものの、市民演劇祭のほうの準備はまだ全然進んでいなかった。
作った木箱のペンキ塗りや、演劇祭で使用するBGM、照明の案など、タスクは山積みだった。本当にこのまま演劇祭を迎えることができるのかと、不安な状態が続いていた。
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