第72話
市民ミュージカルのキャストオーディション開催の記事が出てから間もなく、数名から早速エントリーのメールが届いた。その資料を見せてもらうと、やはり「子どもの頃からミュージカルが好き」「高校の演劇部に所属している」「部活は吹奏楽部です」など、それなりに演劇や音楽と所縁のある人たちだった。
こちらの準備がある中で、シニア向けフリーペーパーのほうでは、スポンサー集めのために営業担当のSRが、春の温泉企画と題して旅館をスポンサーにすることで何とか資金調達をしてくれて、ようやく春号として2号目が完成。1号目には市長への取材、2号目には県知事への取材と、掲載内容も濃密なものになり、これから3号目に向けて動き出そうとしていた矢先、僕はSRが5月いっぱいで制作会社を退職することを極秘に本人から聞かされることに。フリーペーパーの基礎を一から丁寧に教えてくれたSRが退職することは、編集部にとっても痛手であり、僕にとっても少なからずショックであった。
一方、自分で立ち上げた地元のフリーペーパーのほうでも、様々な仕事に追われながら、何とかスポンサーや取材協力先が集まったことで、創刊号として春号が完成。ラジオ番組で一緒だった市議会議員のKAに頼み込み、市長への表敬訪問のプレスリリースを市の広報部経由で報道関係者に発信をしていただいた。数日が経ち、僕は市長への表敬訪問のために市役所へ赴いた。当日のアテンドはKAにしていただいた。
市長からは「ぜひ地元の活性剤となり、広報では発信できない魅力的な情報を伝えてくれることを期待します」という激励をいただいた。表敬訪問には、地元や近隣の新聞社の記者も出席しており、最後はフリーペーパーを持っての記念撮影が行われ、翌日には表敬訪問の記事が各新聞に掲載された。表敬訪問までしたからには、もっと地元のためにフリーペーパーを作ろうと奮起し始めていた僕だった。
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