第70話

2018年の新春を迎え、年明け7日から僕は仕事初めとした。相変わらず、地元のフリーペーパーと、隣町のシニア向けフリーペーパーの双方の準備に追われつつも、地元の商工会に加入したことで新年会に参加したり、自分のチラシを作成して折込をしたりと、営業宣伝活動に余念がなかった。

新年を迎えると、新しい何かが水面下で動き出すことが多く、僕も地元で発行するフリーペーパーは春が正式な1号目、つまり創刊号ということになり、このタイミングで報道関係者へのプレスリリースをしたり、地元メディアに取材をしてもらおうと考えていた。思えば、自分ひとりでやっている以上は、自分自身をブランディングしなければならず、SNSやブログの発信、ホームページの充実など、まずは自分でできることを少しずつ……という感覚で、情報発信に注力していた。

その中で言えば、レギュラー兼構成作家となったラジオ番組でも、フリーペーパーの告知をしたし、共にレギュラーであるメインパーソナリティーは地元の市議会議員。この繋がりは活かさなければと思った。


シニア向けフリーペーパーの年明け最初の編集会議が行われたこの日、僕たちはスタッフの一人であるKKから、ある企画書を見せられた。それは、『市民公募補助金トライアル事業』と書かれており、昨年創刊準備号を配ったあの商店街の夏祭りの協賛会が主催として行う、市民団体に補助金を出してイベント企画を委託するというものだった。

KKはこの補助金事業で、一般公募で若いキャストを集めて市民ミュージカルをやりたいと宣言。その運営スタッフを一緒にやってほしいと、僕らに提案してきたのだ。これまで脚本という立場で、エンタメを作る一端を少なからず担い、これも何か一つの経験になるかもしれないと思った僕は、迷うことなく運営スタッフに名乗りを上げた。これがやがて、僕の人生に大きな影響を及ぼすことなど、この時はまだ知る由もなかった。

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