第66話
シニア向けフリーペーパーの創刊号に向けての準備は、着々と進んでいった。市民映画プロデューサーであるKKも新たにスタッフとして加わったほか、アドバイザーを担当する方が社長を務める広告制作会社からも、出向ということで営業スタッフの方も加わり、今や編集部は僕を含めて8人となった。
巻頭特集をどうするのか、スポンサー獲得をどうするのか、毎回編集会議では様々な意見が飛び交っていた。そんな中、僕は営業スタッフの方から、フリーペーパーでショップを掲載する場合はターゲット層を意識した営業をかけるや、ショップ紹介ページには最低一つメニューと金額の記載を必ずすること、など専門学校時代では教わらなかったことを数多く教えていただいた。
その数日後、巻頭特集のため、僕たちは近くの公民館で開催されているシニアサロンを訪問し、「あなたにとっての生きがいとは何か?」を様々な人たちに取材した。実態調査のように、数多くのシニアの方と話をすることは、意外とエネルギーを使った。
フリーペーパー以外にも、仕事を取らなければいけないと思った僕は、地元の公民館の一室で開催された『まちづくり意見交換会』に参加をした。そこで僕は保険会社の営業マンでまちをよくするための市民団体の代表をしているという会の主催者と知り合うことができた。
また、途中からもう一人、スーツに明るいオレンジ色のネクタイをした40代の男性が参加してきた。その方は今から3ヶ月前、6月に開催された市議会選挙で初当選をした新人議員の方だった。終わり際、僕はその方たちと目標について語り合った。
しばらくして、その市議会議員から連絡があった。地元のラジオ局の市民枠というコーナーでレギュラー番組を持っており、事業の宣伝も兼ねてゲスト出演してみないかという誘いだった。ゲストとして出演したものの、仕事柄このままレギュラーとなって、番組の構成脚本を担当してほしいということになった。
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