第65話

毎年8月の第1金曜日から日曜日にかけての3日間は、隣町の商店街の大きな夏祭りが開催される。現在始動していたシニア向けフリーペーパーは、この夏祭りで創刊準備号を発行することになり、何とか僕は座談会原稿を2日間で仕上げた。そして、他のページのデザインや原稿や写真データも揃い、印刷会社への入稿も終え、祭りの準備期間の中でフリーペーパーが完成した。

祭り前日には、僕も事務所を訪れて事前準備に追われていた。事務所は商店街の一角にあり、当日は歩行者天国にするために道路も交通規制をかける。その道路の一部分にテントを張り、フルーツ缶を売りながらフリーペーパーのPRをすることになった。

3日間の祭り期間では、地元民だけにとどまらず、近隣の市や、中には県外から来る人もいるほど賑わう祭りだった。僕も当日は甚平を着て、声をかけながらフルーツ缶を売りつつ、フリーペーパーの宣伝をした。おかげで、3日目に終わった後、事務所でささやかな打ち上げをした時には、かすれ声になっていた。


夏祭りが終わってひと段落すると、今度はお盆を迎えようとしていた。数日前から連休を取り、東京に行った友人たちも里帰りをしてくる。僕は、卒業以来久しぶりにYMやNMというドラマ制作をしあった同級生、そして先月東京で会ったばかりのHMとで集まり、何軒もはしごした。普段潰れない自分も、久しぶりのメンツとなるとつい力が入ってしまい、フラフラになってしまっていた。

8月の下旬には、また専門学校のメンツで集まる機会があった。それはいつもの飲み会ではなく、プールに行こうと言うことだった。プールがある場所が、自分の家から車で行ける距離だったので、僕が駅までの送迎を行った。ちょうどナイトプールが話題になった頃で、日中からそのまま夜まで残り、最後の花火が打ちあがるまで楽しんだが、ナイトプールになると突然客層が家族連れから若者に変わっていくことを実感した。

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