第64話
7月に入り、脚本を務めた映画のクランクインから1ヶ月が経過した。大きな脚本修正もなく、プロデューサーからも多少のトラブルはある中で何とか撮影は進んでいるという報告をもらい、完成が楽しみになっていた。7月中旬、僕はせっかくならば現場に直接赴いてスタッフやキャストの方にご挨拶に伺いたいと、夜行バスと電車を乗り継いで千葉へ向かった。
夏真っ盛りで日照りも強い中、千葉にある広い高架下の空き地に行くと、既に数人の男性陣やカメラマンや音響スタッフのシルエットが見えた。タイミングを見計らって、僕も現場に合流。裏側で雑務をしていた制作スタッフに挨拶をして間もなく、クライマックスのシーンの撮影を終えた一同が戻ってきた。よく見れば、プロデューサーもキャストとして参加しており、本人曰く、俳優の一人が急遽降板してしまい、代役を務めることになったと言う。キャストの皆さんは奇策な方たちばかりで、僕はすぐに意気投合し、その日の晩はコンビニでアルコールを買って簡単なお疲れ様会を行った。
数日はスケジュールの都合で休撮になるということで、僕はその日のうちにキャストやスタッフ一同と別れを告げた。翌日、僕は専門学校の同級生で東京に就職した、俗にいう東京組のメンバーと品川で会うことになった。その中には、HMの姿も。卒業からまだ4ヶ月しか経っていないのに、このメンバーと会うことがとても久しぶりのように感じた。
更に翌日には、姉妹校の調理学校の後輩だったHAと食事をすることになった。皆、都会に良い意味で染まったように垢抜けたような感じだった。東京に行った友人たちと別れを告げ、僕はその日の晩の夜行バスで愛知へ戻ってきた。
ゆっくりする間もなく、僕はシニア向けフリーペーパーの巻頭特集である座談会の原稿執筆に追われることに。8月上旬の商店街の祭りで配布することになり、ギリギリのスケジュールで対応することになったのだ。
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