第63話
シニア向けのフリーペーパー制作に携わるようになってから、僕は議事録作成も担当するようになり、編集会議に参加していく中で、フリーペーパーを作り上げていく大変さを実感しつつも、専門学校時代に歴史雑誌の編集を3年、そのうち2年間編集長をしていたことを思い出した。
あの時は学校の予算で1年に1回発行というペース作っていたが、こちらは季刊発行で年4回を予定しており、1冊完成させるためには、その都度スポンサーを確保しなければいけなかった。改めて自分たちで企画を出し、スポンサー確保による資金調達をしながら、1冊の紙媒体を作る難しさを、僕は現場で初めて実感した。
このフリーペーパーの編集部のアドバイザーをしてくださっている、近くの広告制作会社の社長から、記事執筆の仕事を不定期でいただけるようになったのは、この頃からだった。
フリーペーパーを制作するにあたり、地元の人にサポーターとなってもらい意見交換をもらおうと編集会議で決まったのは、6月に入って間もなくのことだった。ある日曜日、編集部の事務所で、お菓子やお茶を片手に気軽に名刺交換や意見交換をしようという『サポーター会』が開催された。シニア向けということだけあって、地元の社会福祉協議会の職員の方や医療法人格を持つ地元の病院に勤務する作業療法士などの医療従事者の方も参加。
その中に、僕はこの2年前に地元を舞台にした市民映画を制作したというプロデューサーの方が来ていた。早速僕は名刺交換をし、話を伺った。まさかこんな近くに、市民映画を企画したプロデューサーがいるなんて、と僕は不思議な気持ちになった。
『サポーター会』から数日後に開催された編集会議では、営業用のサンプルとして1回目は創刊準備号という形で発行することが決まり、早速掲載内容の検討に入った。その頃、千葉では、脚本を務めた映画の撮影がクランクインしており、僕は来月千葉に行こうと決めた。
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