第32話 女神ア〇ナは2歳年下
ニーナが椅子に腰を下ろそうと下がっていく…のを3人がゴクッと生唾を飲みながら見守っている。
「やっぱ!無理!あなたが座っていいわよ」
目の前に立っていたシーサー、もといデボラの手を引いて座らせてあげた。譲られると思ってなかったデボラは逆らう事なく流れるようにトスンとイスに腰を掛けた。
「きゃぁっ!」
悲鳴を上げてデボラが立ち上がる。
(えっ?)
立ち上がったデボラのお尻を顔面蒼白で見つめるキツネとタヌキ。いやラウリーとイネス。デボラもゆっくりと後ろを振り返り、自分のお尻を見つめる。
「いやぁぁぁぁっ!」
叫びと同時にしゃがみ込んだデボラ。何がなんだか分からないニーナは立ちすくんでいた。
「な、なんなの?ど、どうしたの?」
「う、うわぁん、もうデビュタント出れないぃぃぃっ」
泣き出すデボラ。いや、もう泣かれても何がなんだか分からないんですけど……
「よく、分からないけどデボラ…立って…」
デボラを立たせるとデボラのドレスのお尻が赤く染まっていた……
(ま、まさか!)
ラウリーとイネスを交互に見るとやってしまったぁ…と小さくなっている。
「あなたたち、イスにワインをこぼして座ったらお尻が汚れるように細工しておいたのね…」
「だって!デボラが座るなんて思わなかったんだもの!ニーナが座るはずだったんだもの!」
はぁぁぁ…ニーナは大きなため息を一つ付いた。目をつむり上を向く。
「うん、分かった。まずはお手洗いに行きましょ。ラウリーとイネスは後ろに立ってデボラの背後を隠してくれる?」
ニーナはデボラの手をぐいぐいと引っ張ってお手洗いへと連れて行く。軽くワインをふき取ってニーナの肩のブローチを外して身体に巻かれていた布を外す。その布を斜めに折ってデボラのAラインのドレスの腰に巻き付ける。
同じ白色なので違和感が無い。お尻の汚れも隠れて斜めに折った事でフリルっぽく見えて最初からそういうデザインのドレスと言われたらそう見えるくらいになった。
「ふぅ、デビュタントって事で全員白色が基本だったから良かった。これなら大丈夫でしょ?」
ニコッと笑うニーナにデボラはしゃくりながら
「な、ヒクッ!なんで?わ、ヒクッ!私、さヒクッんざん貴ヒクッ女に意地ヒクッ悪しヒクッたわ…今日も貴女に…ヒクッ」
「そら、イヤよぉ。昔だってすっごく傷ついた!領土に帰っても、ずぅぅっと貴女達の嫌な笑い声が頭の中から消えなかったし、今も消えてない!
でもだからといって『ざまぁ!』ってするのは私も貴女達と同じレベルに落ちるみたいでもっとイヤ!
だから!私は私でいる!許した訳じゃないの!『情けは人の為成らず』よ!
単に私にできる事があるのにしないのはイヤ!って思うだけ!それだけ!」
「「「…………」」」
3人とも言葉を失う。デボラはシャックリしながらだけど…
「さぁ!始まるまでにデボラは涙を拭いてメイクしなおしておいでよね…じゃ、私は行くわ…三人とも大人になりなさいよ!」
さすがに最後まで面倒を見る気は無かったのでトイレから出てサロンに戻った。ドレスを着た時は気付かなかったけどキトーンを無くしたドレスは胸がV字に大きく開いたエンパイアラインのドレスだった。まるで星座ごとに戦士がいて守られる女神みたいになっていた。
(女神やん!あぁでもあのチャンピオンベルトみたいなのでウエスト締めてないから胸元の形だけか…胸は全然アニメには敵わないけど…って
なんてくだらない事に頭をいっぱいにしたので3人の事なんてすぐ頭のどっかに飛ばせた。能天気な自分に感謝!
※※※
テッドはやっとサロンへ戻れた。マシューのヤツに口止めするためにしょうがなくシガレットに付き合ったが、この大勢の中からニーナを探さねばならない。女神のような布がドレープしたドレスを探す。見つけた!肩を叩く。
振り向いたら知らない女性
「「えっ」」
お互いが言うがこちらは愕然。あちらは頬を染めている。
「すみません、間違えました」
頭を下げてまたサロンの中を見渡す。奥の方にニーナの亜麻色の頭を見つける。周りには男の頭が多い。
(なんで笑顔なんだよ!周りに男が集まってきちゃってるじゃないか!!)
人込みを掻き分けて近づいていくと人と人の隙間にニーナの全身が見える。いつの間にかケープで作ったドーリス式キトーンがなくなっていてその中身のドレス一枚になっている!
胸がV字になっており、大きく開いた背中を紐でレースアップするデザインで肌が露わになっている。髪の毛もアップになっているのでうなじから背中にかけて、際立って見えて今度こそ本当の女神のようだ。
(あぁ、サイズが分からなくても綺麗に見えるデザインをお願いして選んだのは俺だけどさ!
出来上がってみたら露出が高くて、その上にケープを巻いて身体のラインが出ないドレスのように見えるように追加注文したのに!なんで脱いでんだよ)
ニーナの周りが男性だらけに見える。急いで向かうが中々混んでいて思うように進まない。ニーナの隣に立っていた男の手がニーナの露わになっている腰に手を伸ばしたのが見えた。
(触らせるもんか!)
テッドが手を必死に伸ばす!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
か~い♪かいかい♪かゴムゴムのぉ!のどちらを想像するかで世代がバレる?
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