第23話 バス停っていったら?
※アーロン視点
アーロンは久しぶりに屋敷の外に出て驚いた。
「これは何の行列なの?」
「農場行の
「農場?」
「ミスターX様の提案で個人で持っていた畑を
一つにしてみんなで畑仕事をしていこうってなりやして
今や農場になってるんでさぁ」
「畑を一つに?」
驚いた声を出すと同じく並んでいた農夫が
「そうそう、畑を一つにって言ったってよ?
みんなそれぞれ広さも違うしよぉ
これまでの俺らの土地はどうなるんだってな
みんな大騒ぎだったさ」
「それをミスターX様が『株式』っつぅのを出して
みんなが持っていた土地の広さに比例して出すっつってよぉ」
「カブ?野菜?」
「そう!俺らも野菜のカブって思ったぜぇ。
紙ッぺらなんだけどもね、そいつを持っていると
野菜の売り上げの諸費用を引いた売り上げを
畑を持っていた割合でまた分けるっつぅ話でよ」
「じいさんなんて、もう畑を持っていたけど身体がえらいからって
放置していた畑の分の『かぶ』?をもらえたおかげでよ
何もしなくてもお金が入るって事になるんだとよ」
「俺らは畑仕事で給料も出るし、畑ができないけど畑を持っていた年寄りは
『かぶ』?ってやつのお陰で仕事しなくてもお金が入るっていうよ、
すっげぇ仕組みを作ってくれた訳」
「『株式会社』?って言うんだってよぉ」
「俺たち『会社員』なんだってよ」
「今はまだ給料ってのはちょっとしか出ねぇけど、俺たちの頑張りで増えるっていうからやる気も出るっつぅもんよ」
「この『株式会社』ってぇののおかげでよぉ
今までは親から譲ってもらった畑がよ、
兄弟で分けちまってたもんだから
畑が小さくなっちまって『畑だけじゃ生活はできない』って
結局出稼ぎに行かなきゃならんくって放っておかれてたんだ。
その畑もよ、復活したんだぜ」
「雑草が休耕地から飛んでくることもなくなったわ
イノシシとか害獣が休耕地に潜むって事もなくなってよ」
「牛農耕機も作ってくれてよぉ
広い面積を一気に耕せるんだぜ
一人でやっていたらよ
牛なんて飼えないしよ
鍬持って地味~にやってるしか無かったのによぉ」
「家もよぉ屋敷に近い方がアヴェリンが攻めて来た時にすぐ避難できるからってよ
この辺に家をみんなで建ててよ。
みんなで引っ越ししてよ。
商店も近いからみんな助かってんだよ」
「もちろん、害獣対策で交替で小屋に泊まって見守りはしなきゃならんけど
次の日は休めるしよ」
「そう!休みができたんだよ!
畑仕事に休みは無い!っていうのが当たり前だったのによ
交替で畑仕事するからよ、休みがあるんだよ。
子供との時間もできたしなぁ」
「子供って言ったら今までだったら農作業の手伝いするのが当たり前だったのによぉ
『学び舎』ってのを作ってくれてよ。
勉強を教えてくれるんだ。
「ありがてぇぜ。俺なんて字も読めないんだけどよ
子供達が読んでくれるんだぜ」
「俺ら全員、名前だけは書けるようにも教えてもらったんだぜ!
んで、望めばよ、俺らにも勉強を教えてくれんだぜ!
休みの日はよぉ子供について行って
俺も教わっているんだよ」
気付けば多くの農夫にアーロンは囲まれていた。
「農地をみんなでする事にしたって言っても
それぞれの家の畑まで行ってバラバラにやっている訳じゃないんだぜ
今まではアヴェリンが攻めてきたら近くの畑は踏み荒らされたり
燃やされていただろ?
畑は内側にまとめたんだ」
「おう、そんでアヴェリンに近い方は酪農の土地に変えてよぉ
酪農のやつらもやっぱり株式会社っつぅのになっててよ
同じように家も移動してシフトっつぅ働く時間をみんなで
割り振ってずっと仕事って事がなくなったらしいぜ」
「酪農は生き物だから年中休みなんてねぇもんなぁ」
「おれぁ騎士をやっていたんだけどよ
手首をやっちまってよ。
ひねったりとかの動きに痛みが出るようになっちまって
騎士としては働けなくなったんだけどよ
この仕事だったら問題なくできるからな
王都から来たんだ」
「寮もあるしよ
負傷兵として帝国から補償金はちょっと出ていたけどよ
生活はそれじゃやっぱり苦しいしよ」
「何よりもよぉ第一線は無理でもよ
アヴェリンが攻めて来た時には
補助軍として役立てるっていうのが
元騎士団としては誇りでもあるよな」
「ほんと感謝しかねぇぜ」
うんうんと頷く農夫たち。皆、なんだかいい顔と目をしている。
「おっ
みんな大きな馬車に乗って行ってしまった。
ふと見ると屋台がある『お弁当』と書いてある。
「ここは何を売ってるんだ?」
「弁当っすよ。ラウダヴァーラでは領民は食事が
給料がもっと出せるようになったら昼食のみって形にするっとは言ってるんすけどね。
食堂で食べられるんすけど、農場や牧場に行く人間は食堂まで戻ってる時間が無いんで
弁当を予約してもらってここで引き渡ししてるんでさぁ」
以前はただ店が数店並んでるぐらいだったが、今は花も飾られていたり、食堂や居酒屋、宿など店も増えておりちょっとしたバザールみたいになっていて賑わっている。呆然と道の真ん中で立派になった市場を眺めて立ちすくむ。
『何かすごい事になってるぅぅぅ!!!っていうかミスター
頭をかかえ心の中で叫ぶしかないアーロンであった。
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バス停といったら?
やっぱりトト◯の『稲荷前』(๑˃̵ᴗ˂̵)
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