第20話 はぁ〜♪どっこいしょ〜♪どっこいしょ〜♪
翌朝の朝食後
「汚れてもいい恰好に着替えてくるわ。
テッドも着替えてきて」
「いつものシャツにトラウザーズが汚れてもいい服ではないのですか?」
「いやいやいや、あれはまだ甘い!」
ハトが豆鉄砲喰らったような顔をするテッドにふふっと笑う。
いつもよりちょっとスタメン落ちしたトラウザーズとシャツに手ぬぐいをクビに巻いて軍手、帽子を被りよくある案山子の様な恰好のニーナと比べてテッドの恰好はあまり変わってない。いや、ほとんど変わってない。
騎士だから普段から汚れてもいい服なのかな。それでも貴族出身だからなのか他の騎士より綺麗な服だ。
同じように手ぬぐい、軍手、帽子をテッドに支給。案山子姿になってもイケメンはイケメンである。
(チッ!)
現地に着いたらシルヴィオが約束通り手の空いた騎士達を派遣してくれていた。皆には長靴も履いてもらう。長靴履いてもテッドのイケメンオーラは抜けきらない。すごいな!
「おーーーーーい!こっちこっち!」
畑で手招きするおばあちゃん。
「ほんと、助かるわぁ」
「いやぁ、今年もいい感じに実ったねぇ」
「こぉんなイケメンまで連れてきてくれて眼福だぁ」
拝む農家のおばぁちゃん達。気持分かるなぁ。若い子って話すだけで若返った気持ちになるもんね。それがさわやかイケメンなら尚更よね。
「ほんと!王子様みたい」
両手を頬に当てちょっと頬を染める孫のメグ。メグはまだ5歳なので教会の勉強会には出ておらず、テッドとは初めましてである。
「王子様だなんておこがましいですよ」
テッドは引きつってニコッとする。
「さぁさぁ!今日も頑張るよっ!」
目の前には黄金色に染まった畑。麦の収穫だぁ!
麦の根本を掴んで鎌で刈る。それの繰り返し!
「お昼休憩にすんべぇ」
「わーい」
ノビをしてお昼ご飯にするべくテッドをいい感じに木陰になっている
広めのスペースに連れて行く。
するとぞろぞろといろんな畑から作業をしていた人たちも集まってきた。
「お疲れ様です。本当にありがとうございます」
「いやいや、あんな立派な砦のお陰で見張りは少人数で良くなったし
いい鍛練になりますよ」
若い人間はほとんど騎士団の人間である。
「兄ちゃん!これも食べてみな!うちで採れたヤツだで」
「これもこれも!」
テッドは人気で囲まれている。一口食べては
「ん!おいしい!」
反応もいいものだから余計だ。
食後の休憩時間
「ふぅ。食べ過ぎてしまいました」
「ふふっ。美味しいでしょ?」
採れたての野菜は本当においしいよね
今回は砦のアイデアを出したお礼だってシルヴィオが騎士団の人たちを貸してくれて助かったわ
「隣の国でも今は収穫の時期。
農民も戦に加勢させるには収穫が終わってないとでしょ?
だから大体攻めてくるのはこれからの時期なのよ。
燃やされたり、踏み荒らされたり。
収穫をあちらより早くしないと農作物がダメになっちゃうのよ」
「そうなんですね」
「攻めて来られないのが一番なのだけどね。
虎口を増設した事により、効果が出る事を祈るわ」
テッドは畑の方を見てある事に気づいた。
「なんでところどころ、麦ではなく緑色の部分があるのですか?」
「あれは休耕地よ」
「休耕地?」
「亡くなったベンノんとこの畑だぁ
ベンノの息子らで畑を分けたはいいんだけど
結局、儲からねぇって言って出稼ぎに行っっちまってよ
放っておかれているんだぁ」
「あっちゅう間に雑草がボウボウになっちまった……
お陰でこっちの畑にも雑草が生えやすくなって大変なんだぁ。」
「んでも、今年から『みんなで畑をやる』ってなったからよ、大分休耕地は減ったんだけど、まんだ、まんだ、人手が足らんのよ」
「ベンさんの息子は別の領地へ行っちまってるから、今ミスターXが農地を使えるように手続きをしてる最中だって言ってたっけ、来期からはちゃんと畑になるんじゃねぇか」
みんながやいのやいのと話しだす。
「じゃ、収穫終わったら今度は休耕地の雑草を刈るのを手伝っていいか団長に聞いてみますよ」
騎士団のダンが人のいい笑顔を見せてくれる。
「ほんとかい?」
ぱぁっとみんな明るい顔を見せてくれ
今度はダンに食べろといろんな食べ物を差し出し、テッドの周りがスッキリした。
みんな現金で面白い。顔よりも労力。
午後も続く刈り取りで腰に来る!
いかん!一回立とう!
振り返って今まで刈った成果を見る。
畑の端でメグが遊んでいる。
(現代だったらコンバインであっという間に収穫できるのに)
立ち上がりノビをして腰をトントンとする。
すると、隣の雑草の山から黒い塊が飛び出してきた!気付いた時には黒い塊の延長上にいるメグに向かって脚を蹴り出していた!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ソーラン節、踊らなかった?
今日は夜20:02も更新しますΣd(゚∀゚d)
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