第5話 クロちゃんです♪
死を覚悟して身構え、目をギュッと閉じた。
ドスン!
その地響きで尻もちをついた私。
ねば~~~ん。
冷たい感触で目を開いてみると…馬が私に頬ずりしていた。
(え、生きてる)
首をトントンしてあげると喜んだ。どうやら私を受け入れてくれたようだ。
「おぉぉ!お嬢!」
皆が拍手をしてくれる!
世紀末を舞台にした漫画のライバルの愛馬のような大きな黒い馬から名前をいただきたいが…音が『コクオウゴウ』とちょっと不敬なので
「この馬は『クロ』よ!」
クロは自身が10頭は入れるくらいの大きなクロ専用の厩舎を早速作ってもらい、広々とした厩舎でゆったりと過ごせてご機嫌だ。気に入ってもらえて何よりだ。
こうしてニーナはペット?を手に入れる事ができた。
「馬!ゲットだぜ!」
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「おぉい!来てやったぞ!」
ある日偉そうに腕を組んで顎を反り上げた少年が大広間にいた。
髪はなんとなくアーロンに似たくりくりの栗毛だ。父の血筋の男児はみなクリクリの栗毛なんだろうか。
どうやら彼は私の従弟のイラーリオ・エロランタ。
父の兄のエロランタ伯爵家の3男。歳は13歳。
アーロンよりも一つ年上で私の一つ年下。
わざわざ牛車で半日くらいかけてやってきたらしい。
そう父はラウタヴァーラ辺境伯の生まれではない。父はイラーリオと同じくエロランタ伯爵家の3男だった。
勉学に励み、その頃マルクルドがいろいろな国をまとめて帝国となっ際に通貨を統一するために奔走し宰相へと上り詰めた。
しかし、隣国との境にある国境の要であるラウタヴァーラ辺境伯が反逆を起こした。
あっという間に帝国によって制圧され、父が下賜されたのだ。名前まで変更するのは民意を刺激してしまうからとそのままラウタヴァーラ辺境伯という名前もついでにいただいたと言うことらしい。
父は当時右腕だったデニスにラウタヴァーラ辺境伯爵領の管理を任せ、自分は王都で宰相の仕事に明け暮れている。父がこの伯爵領に来ることはほとんどないのはそういう訳だった。
髪も目もアーロンと一緒で似ているのになんとなく性格の悪さが顔に出ていてイラーリオを跡取りにしなかった父の心眼を褒めたくなる。
彼としては父と同じエロランタ伯爵家の3男の自分が跡継ぎに選ばれると思っていたのに、父の妹の子である一つ年下のアーロンがこの家の跡取りに決まった事が気に入らないのか、余計に態度が悪い。
(気に入らないのであればこの家に来なければいいのに)
いつもだったら私はイラーリオの事は放っておいて部屋に引きこもっていたらしいのだが私が姿を現した事にまずイラーリオは驚いた。
「ニーナが出てくるなんて珍しいな。パレードの話は聞いたぜ。でかい馬を喰ったんだって?さすが
「あーら、豚が馬を食べるだなんて野蛮な事、このラウダヴァーラ領主の娘がすると思って?噂を確かめもしないで鵜呑みにするなんてオバカのする事ですわよ」
いつもならイラーリオに何か言われたら涙をためて部屋に戻って閉じこもっていたであろうニーナが言い返したもんだからイラーリオは余計に驚いた。
(もう私はただの14歳の乙女じゃぁないんだなぁ。50歳のBBAをなめんなよ)
まさかニーナに言い返されると思っていなかったイラーリオは今度は目線をアーロンへと移した。
ビクッとなるアーロン。
(あぁ、多分私が部屋に閉じこもっていて知らなかっただけでいつもイラーリオにやられてたな。こりゃ)
「なんだ、アーロン、
アーロンの腕を引っ張り
「いつものように遊ぼうぜ。剣の訓練しようぜ」
アーロンを鍛練錠へと連れ出した。
派出所騎士団の鍛練は朝のうちに終わり仕事をするため昼間はガランとしている。
「ほら、持てよ」
模擬剣をアーロンに投げるイラーリオ。
剣を構えて向かい合う二人。
自信にあふれるように構えるイラーリオに対しビクビクするアーロン。
すでに勝敗は決まっているようなものだ。
鍛練場の外で見守る。
「へへっ来いよ!」
アーロン振りかぶるもあっさりとイラーリオに剣を上にはじかれイラーリオに剣でたたかれる。
「寸止めじゃないの?!」
思わずニーナは声を上げるが終わらない。
模擬剣とはいえ当たれば痛い!
実際の鍛練でも寸止めが基本だ。
ニーナの声を無視して殴り続けるイラーリオ。
ニーナは周りを見渡し模擬剣をつかむとイラーリオに向かう。
しかし、シーナの時でも剣道は体育でしかやった事がないので
実践的に練習しているイラーリオに敵う訳もなく、あっという間に剣を飛ばされた。
あ!と思った時にはイラーリオがニーナに向って剣を振りかぶっていた。
アーロンがかばうために間に入るが身長が足りない。
ニーナは両手を挙げた
「真剣!白刃取り!」
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パチーン!ってできたらステキ!
続きは明日の朝6時。読んでいただけたら嬉しいです。
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