第7話 Rojiネコ🐈⬛同盟
「そうだ!仲間がいるんじゃよ」
さだちゃんは屋根を指さしながら言った。
昔からのダチでチューやんっていうんだよ。
この際だから紹介しておくよ。
「おーい!チューやん降りて来いや?」
屋根裏から降りて来たネコは、なんかネズミのような雰囲気をかもし出していた。まさかネズミじゃないだろうなぁ!
「コイツら横丁の方から来たらしいよ」
チューやんはその風貌さながらに、キョロキョロしながら3人を見ていた。
「横丁から来たんか?」
「オイッ、ミノルって知ってるか?」
ミノル?誰だそいつ。
ヨシオさんはまったくわからなかった。
「お前に似てるヤツだよ!会わなかったか?」
「金貸小屋の前でたむろしていた一人じゃないですか?」
マコトが自分の記憶媒体からデータを探して、ヨシオさんに言った。
えっ!アイツか!あの薄汚れたヤツか!
まさか俺に似ている?なぜだ?
ヨシオさんは動揺していた。
確かにヤツを見ていると、
不思議な感情が湧いた事は事実だ。
チューやんは流れて来たネコ、向島、両国、浅草橋経由でここに来た。卸問屋のオーナーに可愛がられて、売上げの大きなこの市場に来たわけである。ここは公設市場なので、2階の駐車場が広く取ってあった。雨はしのげるし、裏でご飯を貰える食堂も充実してるし、良いところ尽くめだった。
オーナーが高齢で亡くなると、後継ぎはおらず、そのまま次を待ってるお店に引き継がれた。当然自分は追い出される事になり、屋根裏ネコになったわけだ。まあしょうがないけどな。
ヨシオさんは動揺していたが、マコトはなぜか市場裏に生きてる猫たちを見て、得体の知れない躍動感を感じた。
〜いいじゃ無いの、夢があるなら〜
そう、この時代は夢があった。どん底に生きているようだったのに、夢が誰かしらを支えていた。この後どんな時代が待っているのだろう。ネズミのように毎日毎日駆けずり回って、どつかれて、蹴っ飛ばされても、どこかに自分を支えてくれる何かがあった時代だ。そう感じている。
偶然知り合ったネコどうし、お互い知らんぷりするのもどうかと思うぜ。まあ変わり者どうし仲良くやっていこうや!そんな気持ちがそれぞれに湧いていた。
Rojiネコ同盟。
そんな言葉、似合いそうな雰囲気もあった。
まあすぐ変な名前付けたがるのはよそう。
何が起こるかわからないからね。
Rojiネコ同盟は誰がリーダーって事は無い。お互い思いやりが通じれば気楽に集まってくる。人が集まるには理由がある。ネコが集まる理由もちゃんとある。東京の下町を舞台に生きたネコと、その100年後の世界からアバターになっても、ネコが一堂に会したわけだ。
ネコでも人間でもアバターでも、みんな楽しく生きていこうじゃありませんか!
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