第3話 未来型ネコ

〜俺はマコト〜ロボットです。


2040年の世界から来た。100年後の東京だ。未来から来る場合、ほとんどが時代干渉なしの偵察部隊という事になる。人間も来ているが、普通は分からないだろうね。そもそも見えないから。


この時代が良かったって思う人、結構いるらしい。この時代を懐かしむ人たちが、かなりいる事があとでわかった。何か参考になるものがあるのかも知れない、という事で時空を超えてやってきたわけである。


マコトはネコ型ロボット。ドラえもんじゃないからね。いわゆるアバターである。自分の主人は2040年の世界で、少し弱った脚をかばいながら、マコトを使って、100年前の東京に意識を同通させている。カタコトの日本語で奥さんと会話をしながら、マコトの右眼球に埋め込まれた電脳カメラを操作していた。アバターの言語は全て適応してるので安心だ。私はその間は寝ているようだ。




マコトの目は青い。そしてカメラを通して、そっくりデータを送信出来るようになっている。送信データ量は1テラまでは1秒掛からない。とにかく気付かれないようにしなくてはならない。次元を超えての送信という事なので、タイムトラベラーとしても極秘事項だ。すでに数万枚のデータは送信済みだ。2040年に生きてる人類の事は伏せたい。2025年に起きた未曾有の天変地異から逃れた人々だからだ。誰もが記憶から消したい時代だったからだ。


それでも東京は不滅だった。


2019年頃から世界の有能な科学者、政治家による大改革騒動が始まった。そのターゲットは日本。そしてこの「レトロ東京」であった。従順な人たち、物言わぬ人たち、なぜか背骨を抜き取られてしまったような人たちは、その見えない騒動に気付いていない。まさかその実行部隊が、恫喝された政府だったとは未だ信じられない。さらに100年近く前、この国は巧みに仕掛けられた罠にまんまと引っかかった。国民総動員で見えない影と戦った。戦っていたのは自国に仕掛けられた罠だった。そもそも政府が騙されたので、色々な作り話、特殊映像があたかも真実のように宣伝された。我々は最後の攻撃を受けるまで、何が起きてるか実は知らなかった。


色々な舞台演出をしたのは、長らく世界を金融、権威、恐怖で支配してきた組織だ。最初は優しく英国紳士のような出立ちで話しかけてくるが、そのあと牙を剥いてくる。資源を何しろ独り占めする事が趣味らしい。アフリカ含め、全ての大陸で実行された。しかし騙された事に気付き、立ち上がった国からその呪縛は解かれていった。日本は遅かった。世界のラストだった。


日本は、そしてレトロ東京は、さらに数年間見えない影と戦い続けた。それは自国民との戦いでもあった。植え付けられた常識は、全く変化を見せなかった。覚醒を抑え続けられた80年近くの歳月は岩盤のようだった。




ある時キッカケが訪れた。

何の変哲のない、たわいの無い言葉の中にあった。




それは…

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