とある自習の一時

「中村先生は、今日お休みしていますので、今日は自習になります」

 担任の先生が授業開始と同時に伝えると帰って行った。その事もあり教室には、生徒しか居ないことから、まったりとした空気が流れていた。

 かくいう僕ものんびりしていた。ふと気になって嵐臥の方を見ると、真剣な眼差しで問題を解いていた。その姿は、今の教室では異質であったが、僕はそんな嵐臥に見蕩れていた。すると、嵐臥と目があった。彼は、手を振ってきたのを見て恥ずかしくなり目線をずらし、小さく手を振り返した。


 授業が終わり休み時間になると嵐臥がこっちに急ぎ足で近づいてきた。どこかテンションが高い様に見える。


「梨久〜!」

「何さ」

「見てくれ」


 そういうと嵐臥はノートを渡してきた。しかし、何も書かれていないページが開かれており僕はもう一度確認すると、左端に怪獣の絵が描いてある。前のページにも同じようなものがあり、ノートをめくっていくと、怪獣が街を壊すパラパラ漫画が描かれていた。


「どうだ俺の傑作は!」

「もしかしてさっきの自習時間に描いてたの?」

「おうよ!」


 自慢気に話してくる彼の姿が、可愛くて思わず笑ってしまった。

 その後も楽しかったのか授業が終わる度に新作が出来たと言い嵐臥は僕に見せに来た。

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