第五話 熱い地表

今日も東京は暑い。アスファルト上を温度計で測ると50度あった。最高気温は40度を越えようとしている。今や世界一暑い都市になってしまった東京。暑いだけでなく、蒸し蒸しする気候だけは何とかして欲しいけど、まあ今の状況だと無理やろうね。


ヨシオはおじいちゃんと縁側で、夏休みの宿題を仕上げていた。地底人の件をノートに書いてみたけど、なんか上手く出来なかったので昆虫の標本を作ることにした。カブトムシは近所の雑木林で調達した。でも今年はセミが鳴かないって、みんな言ってたけどそうだったかなあ?


ヨシオは全部で10匹の標本を作って今年の宿題にする予定だ。


「ヨシオ!そんな所に針刺しちゃいかん!」


おじいちゃんは縁側の隅で爪切ってたかと思うと、いきなり喋ってきた。



〜見てたんか〜い!〜



「オット!確かにヤバいな」

 ヨシオは刺し直した。



おじいちゃんはエアコンが嫌いだ。


なんか良からぬものを感じているらしい。問題は冷え方にあるって力説していたな。よくわからないけど、無くても大丈夫な日もあるしな。アナログおじいちゃんの言ってる事も正しいかもしれないね。しかし蒸し蒸しだ。脚が冷えると確かに体調がグッと悪くなるね。


そんな事を思っていたら 突然!


「きのう、また地底人から連絡きたわい!」


えっ!昨日もあったの?


「地上の人間とコンタクト取ることは、本当はしてはいけない事らしいが、あんたはイレギュラーだとぬかしてきよった」


「俺って選ばれし者ってか?」


おじいちゃんは気分良さそうだった。


「そして、もうすぐ色々明かされるって言って来よったな」


何が明かされるのだろう?


ヨシオはなんかワクワクしてきた。

当然知らない事だろうけどね。でも世の中知らない事ばっかりだな。普通に吸ってる空気だって、頭の中だって、いつも見てる夢だって、実際取り出して見たわけじゃないから、なーんにも本当のことなんて知らない。ただ、そう言う事を言ってる人のことを信じてるだけの話。


〜初めて見るものって、大体そんなものか〜


ヨシオはスタスタと、テレビの前に行こうとした。すると…



「ヨシオ!あまりテレビ見るんじゃないぞ!」


〜えっ!おじいちゃんそれはないぜ

 自分はどうなんだよ?〜


「まっ!これからは見ない方がイイよーってね」トーン下げた。


〜説得力の無い話だ〜


「ニュースって最近言ってる事

 何か嘘っぽいんだよね!」


〜そうなのか?ニュースか〜


ニュースとか見ないから感じた事も無いけど、でも最近公共放送で、顔にベタベタとピンク色塗った男の人が、ヘンテコな踊りしてる番組普通に流れてるな。あれは公共では無いな!


「まっ!いいか!」


ヨシオは大好きなアニメを観始めた。それにしても今年は暑いな!


〜フライパンの上にいるようだよ〜。


おじいちゃんはこっち見て、なぜかニヤついてた。

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